種類 | 果菜類 |
科目 | ナス科 |
栽培難易度 | ★★★ |
収穫量 | ★★☆ |
管理の手間量 | ★★★ |
植える時期 | 4月下旬~5月上旬 |
収穫時期 | 6月中旬~10月中旬 |
連作障害 | あり(3~4年) |
初心者おすすめ | 苗 |
プランター栽培 | ○ |
日当たり | 日なた |
支柱 | 3本仕立て |
マルチ | ◎ |
ベットの高さ(畝高) | 10cm |
1列植え | 60㎝(ベット幅) 50~60㎝(株間:縦) なし(条間:横) |
2列植え | 90㎝(ベット幅) 50~60㎝(株間:縦) 60㎝(条間:横) |
PH | 6.0~6.5 |
堆肥 | 3~4kg/㎡ |
石灰 | 150g/㎡ |
最初の肥料(元肥) | 化成肥料 200g/㎡ |
追加の肥料(追肥) | 化成肥料 25g/㎡(2週間毎) |
コンパニオンプランツ | バジル、ニラ、シソ等 |
植える時期・収穫時期は関東など温暖地の目安です。
北海道・沖縄など寒冷地や暖地の詳細はスケジュールの箇所で紹介しています。
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もくじ
年間スケジュール
植え付け時期と収穫時期
エリア | 種まき | 苗植え | 収穫 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 3月上旬~3月下旬 | 5月下旬~6月上旬 | 7月上旬~10月上旬 |
温暖地 | 2月上旬~3月上旬 | 4月下旬~5月中旬 | 6月中旬~10月中旬 |
暖地 | 2月上旬~2月下旬 | 4月上旬~5月上旬 | 6月中旬~11月上旬 |
植え付け時期のポイント
- 最低気温10℃以上のGW前後
- 地温15℃以上
植え付けるタイミングは霜が降りる心配がなくなってからです。
地温は計測しないとわかりにくいですが、最低気温が10℃以上になってから(GW前後)を目安に植え付けをしましょう!
ホームセンターでは早い段階で販売される事が多いですが、販売されている時はまだ早い時が多いです。
早く植えると寒さで育たないなど失敗するので早めに買った場合は苗を温かい場所で保管しておきましょう。
連作障害
連作障害のポイント
- あり(3~4年)
ナスは連作障害がある野菜なので、同じ場所で2年連続で栽培するのはオススメしません。
3~4年間は同じ場所・畝(うね)でナス科(トマト・じゃがいも等)を育てないようにしましょう。
畑の準備(土づくり)
投入する資材 | 施肥量 |
---|---|
堆肥 | 3~4g/㎡ |
石灰 | 150g/㎡ |
肥料 | 200g/㎡ |
土づくりのポイント
- 植え付けから逆算して3週間前に堆肥、2週間前に石灰、1週間前に肥料を入れる
- 土の表面から15センチ位までクワなどで耕す
ナスは土のPH6.0~6.5と中性で育ちます。石灰を耕すときに入れましょう。
堆肥・石灰を撒いたあと1週間経過したら元肥(もとごえ)を1㎡あたり化成肥料200g撒きます。
初心者の場合は化成肥料(8-8-8)が簡単でオススメです。
畝づくり
畝づくりのポイント
- 表面を平らにする
- 地面から10センチ位の高さに
土の準備をした畑に、その見た目からベットと呼ばれる事もありますが、畝(うね)を作りましょう。
水はけが良くなるなどのメリットがあり、ナスの畝は10センチ位の高さがあれば十分です。
マルチ
マルチのポイント
- 黒マルチがおすすめ
黒マルチがオススメです。マルチは無くても育ちますがナスは極端な乾燥を好まないのでマルチをして水分を逃がさないのも上手な栽培ができるポイントです。
植え付け
苗・タネの選び方
苗選びのポイント
- 病気になったり枯れていないもの
- 節感が詰まっているもの
- 接ぎ木苗がおすすめ
ホームセンターで買う苗も苗によって状況が違うので綺麗で健康な苗を選びましょう。
葉が生えている所と次の葉が生えている所を節といいますが、節が詰まっていてひょろひょろしていない苗を選びましょう。
接ぎ木苗は病気に強い、連作障害を防止できるなどのメリットがあるので少し高いですが枯れてしまって収穫できないと0なので、初期投資しておくのが上手に栽培するコツです。
品種の紹介
品種 | 品種 | サイズ | 栽培の特徴 | 栽培難易度 | 味の特徴 | 煮る | 焼く | 揚げ | 炒め | 漬物 | 生食 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中長ナス | 千両 鶴丸 | 10~15㎝ | 沢山取れて作りやすい、一般的なナス。 | スーパーのナス | |||||||
長ナス | 築陽 庄屋大長 黒陽 | 35~45㎝ | 比較的取れやすく、日本の伝統的なナス。 しっかりとした支柱が必要。 | 肉質が柔らかく、甘みがある。 火を通すととろける食感。 | |||||||
丸ナス | 賀茂茄子 天狗ナス 丸紫 | 10~15㎝ | 丸くて大きいナス。 追肥をしっかりしないと実が大きくならない。 | 果肉が厚く煮崩れしにくい。 火を通すと甘みが増す。 | |||||||
米ナス | くろわし ブラックビューティー | 15㎝ | 大きく育ち、長期的に栽培できる。 しっかりした支柱、剪定管理が必要。 | 果肉が厚く煮崩れしにくい。 火を通すと甘みが増す。 | |||||||
小ナス | 民田 十全 | 3~8㎝ | 一口サイズで比較的育てやすい。 こまめに収穫が必要、タイミングを逃すと味が悪くなる。 | 苦みが少しある場合もある。 食感がしっかりしている。 民田(みんでん)なすは「からし漬け」で有名。 | |||||||
水ナス | 泉州水ナス | 12㎝ | 関西地方で栽培。水分を含んでみずみずみずしい。 乾燥に弱いので水やりが頻繁に必要。 | 生でも食べられるほど柔らかく、ジューシー。 少し甘みがあり、特にフレッシュな味わい。 | |||||||
白ナス | ラテ とろーり旨ナス | 8~10㎝ | 紫ナスに比べてややデリケートで、日焼けや病害虫に弱い。 水やりと日光のバランスが大切。やや涼しい環境を好む。 | 皮が薄く、苦味がほとんどなく、まろやかな味わい。 果肉は柔らかく、水ナスほど水っぽくはない。 |
品種選びのポイント
- 初めは中長ナス(普通ナス)を選ぼう
- 栽培に慣れてきたら長ナス・丸ナスにステップアップ
- 漬物にするなら小ナス・水ナス
種蒔き・植え付け
植え方 | ベット幅(畝幅) | 株間(縦距離) | 条間(横距離) |
---|---|---|---|
1列(1条) | 60㎝ | 50~60㎝ | なし |
2列(2条) | 90㎝ | 50~60㎝ | 60㎝ |
植え付けのポイント
- 苗と苗は50~60㎝離して植える(株間)
- 2列で植える場合は60㎝離して90㎝の畝にする
苗の植え付けは風の無い晴れた日の午前中(10時位まで)に行います。植え付け時の苗は弱いので、風があると苗が弱ってしまいます。
ナスは「行燈(あんどん)」を作って植え付けしてあげるのがおすすめ。一緒に仮支柱をしましょう。
行燈をする事で苗を風から守る・保温する事で初期生育が良くなるメリットがあります。最初に大きく育てないとそのまま大きくならないので保温がポイントです。
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツのポイント
- バジル・シソでアブラムシ防除
- ニラで青枯れ病予防
バジルとシソはその匂いによってアブラムシを遠ざける効果があります。
バジルとシソが成長するとその株でナスに陰が出来て地面の乾燥を防ぎます。バジルもシソもかなり大きくなるのでお互いに成長を阻害しないように、40㎝以上はナスから離して植えましょう。
ニラに含まれる拮抗菌によって、ナスの根と絡まると青枯れ病を防ぐ効果があります。
ナスを植える時に根と絡めるように苗を挟むようにニラを植える方法があります。
支柱立て
支柱のポイント
- 高さ1.2m、1.5m、1.8mを選ぶ
- 太さ11㎜、16㎜、20㎜を選ぶ
ナスの支柱は、太さや長さにそれほどこだわる必要はありません。
ナスの株は約1.5m前後まで成長するため、その程度の長さがあれば十分です。
太さについても、トマトやキュウリの支柱ほどしっかりしていなくても問題ありません。
支柱を立てるときに、苗を紐でくくる作業(誘引)はコツがあるので注意しましょう!
やり方を間違えると成長の過程で苗が折れてしまう・傷がつき病気になる事につながります。
3本仕立て栽培の手順
3本仕立て栽培のメリット
- 4本仕立てなどより管理しやすい
- 収穫量が増加する
- 品質が良くなる
3本仕立て栽培のデメリット
- どの枝をカットすればいいかわかりにくい
- 手間がかかる
ナスはたくさんの仕立て方がありますが、私が家庭菜園で最もおすすめするのは「3本仕立て栽培」です。
3本の主軸(枝)を決めて、その3本を伸ばしていく栽培方法です。
その中でも、3本仕立てで栽培し、「切り戻し」という実を収穫する毎に枝ごとカットする方法で、ナス栽培で長期的な収穫をする場合に必要な「更新剪定」という作業をせずに秋まで収穫できる方法を紹介します。
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日々のメンテナンス
追肥【追加の肥料】
追肥のポイント
- 1株当たり化成肥料25g/㎡(2週間毎)
- 1番果が出来たらマルチを剥がして畝肩(うね肩)に与える
- そのあとは2週間毎に通路に肥料を与える
- 花の状態を見て追肥が必要か判断できる!
ナスは、1番果ができたら追肥の合図です。まず、マルチを剥がし、畝の肩に追肥を施した後、再びマルチを元に戻しましょう。
2回目以降の追肥では、根が広く張っているため、通路に肥料を撒くだけで十分に吸収されます。効果がないのではと心配になるかもしれませんが、心配は不要です。
肥料は、マルチと通路の境目付近にばらまくと効果的です。
ただし、肥料を定期的に与えるだけでは肥料過多になることもあるため、ナスの花の状態を見て追肥が必要かどうか判断します。
ナスの花の真ん中が飛び出ている(雌しべが雄しべよりも長い)場合はOKです。逆に、真ん中が短い(雌しべが雄しべよりも短い)場合は肥料不足のサインです。このような場合を除いては、少し追肥を遅らせるのが良いでしょう。
整枝・摘芯・摘果・摘葉・下葉かき
整枝・摘芯・摘花・適葉
- 主軸を3本にして残り伸ばしていく(整枝)
- 1番最初の実は小さいうちに取り除く(摘果)
- 脇芽から育った枝は収穫する毎に枝ごと収穫(摘芯/切り戻し)
- 古くなった葉はカット、真ん中で混み合っている葉もカット(摘葉)
- 1番果の下までの5節目までに出る脇芽は全てカット(下葉かき)
ナスの葉は柔らかいので手でポキッと折ってあげると簡単に折れます。
枝をカットする場合や、収穫の時はハサミを使ってしっかりとカットしましょう。
更新剪定
更新剪定のポイント
- 更新剪定をすると1か月はナスが取れない
- 北海道などの寒冷地では使えない
“更新剪定”という栽培方法があります。これは8月に成り疲れた株の根を一度切り、枝も大胆に剪定してリフレッシュさせ、9月からの秋ナスの収穫に備える方法です。
ただし、この方法には一長一短があります。1か月ほどナスが収穫できなくなるため、状況によってはデメリットとなることもあります。
また、これは私の実体験ですが、北海道など寒冷地では、更新剪定を行い9月を迎える頃には気温が下がり、温度不足により秋ナスがそもそも収穫できなくなることがあります。
収穫期間が短い地域も含め、どの地域でも今回紹介している『収穫ごとに切り戻しを行う方法』の方が、継続してナスを収穫できるため、おすすめです。
人工授粉
人工授粉のポイント
- ナスは人工授粉が不要
ナスの花は一つの花の中に雄しべと雌しべがあり、基本的に風で揺れるだけで受粉が行われます。そのため、通常は人工授粉の必要はありません。畑で栽培している場合、虫が自然に受粉を助けてくれます。
ただし、ビニールハウスなど風が届かない環境では、軽く花を揺らすことで受粉を促すことができます。
水やり
水やりのポイント
- 真夏は水やりを毎日やるのがおすすめ
- リキダスを一緒に与えると良い
植え付け直後は、数日に1回の水やりがオススメですが、雨が降る場合は水やりは不要です。
実がつき始めると、水分を非常に多く必要とするようになるため、雨が降らない時は家庭菜園では水やりをしっかり行うことで失敗が少なくなります。
夏場(7月・8月)は毎日水やりをすることが推奨され、気温が下がった夕方や早朝に水を与えるのが理想的です。
気温が高い時間帯に水をやると、水温が上がり苗が傷んでしまう原因になるため、避けましょう。
ナスはその果実がほとんど水分でできているため、水を非常に好む植物です。水切れを起こさないように注意しながら育てましょう。
栽培期間が長いナスは肥料の他に「微量要素」を含む資材を与えると、健康に株が育って美味しいナスを収穫できます。家庭菜園で使える「リキダス」を水やりの際にジョウロに入れて1週間に1度与えるのがおすすめです。
収穫
収穫のポイント
- 品種によって収穫の長さが違う
- 1番果は小さいうちに取る
- 3本の主軸に生えるナスはそのまま収穫
- 脇芽から出てて来るナスは切り戻しで枝ごとカット
- 朝に収穫しよう
収穫の長さ
- 中長ナス(普通)・・・10~15cm
- 長ナス・・・35~40cm
- 丸ナス・・・10~15cm
- 米ナス・・・15㎝
- 小ナス・・・3~8㎝
- 水ナス・・・8~10cm
- 白ナス・・・8~10㎝
品種によって収穫のサイズが違いますので注意しましょう。
一番果は小さいうちに収穫する事で実に行く栄養を株の成長に使ってくれて、後々いっぱい収穫できるようになります。
病害虫
病害虫のポイント
- アブラムシ、チャノホコリダニなどに注意
- 半身萎凋病、うどん粉病などが注意
病気
半身萎凋病
この病気の典型的な特徴は、株の片側だけが急激に萎れることです。最初は葉や茎の片側だけが枯れ始め、もう一方は健康に見えるものの、次第に株全体が萎れてしまいます。
これは細菌性の病気であり、発症後に治療することはできません。感染した株は早めに撤去し、翌年の発病を防ぐための対策が必要です。
予防策としては、「接ぎ木苗の使用」、「輪作の実施」、「太陽熱消毒」が、家庭菜園でも実行できる効果的な方法です。
うどん粉病
葉に小麦粉のような白いカビが発生することがあります。このカビが原因で起こる病気は、進行すると葉全体が白く覆われ、光合成が抑えられて成長が阻害されます。この病気は乾燥した環境で特に発生しやすいです。
カビは風で他の葉に広がるため、発症した葉は早めに切り取って、被害の拡大を防ぎましょう。薬剤を使うことでさらに効果的に対策ができます。
「カリグリーン」は、家庭菜園や有機栽培でも使用できる、おすすめの薬剤です。
害虫
アブラムシ
葉の裏側に緑色や黒色の虫が付いている場合、それはアブラムシです。
アブラムシは植物の汁を吸い取ってダメージを与えますが、最も厄介なのは、モザイク病を媒介することや、排泄物によってすす病を引き起こす点です。
初期段階では、水で洗い流す方法も有効ですが、大量発生した場合はスプレーの使用がおすすめです。家庭菜園で使える自然派薬剤としては「ベニカマイルドスプレー」がおすすめ。
チャノホコリダニ
チャノホコリダニの成虫は、0.25mmほどの非常に小さなダニで、肉眼では確認できません。被害は進行してから初めて気づくことが多く、非常に厄介です。
風で運ばれ、雑草や作物の残骸などで越冬します。
被害を受けると、新しく生えてくる芽や葉が奇形になり、葉が巻いて光沢を帯びます。また、果実に被害が及ぶと成長が止まり、茶色く変色して傷つくこともあります。
家庭菜園では、被害が確認された際に使用できる自然派の薬剤として「アーリーセーフ」がおすすめです。
質問コーナー
ナス栽培で初心者が疑問に思う質問をまとめています。
ナス栽培の疑問・質問一覧
ナス栽培の質問
質問クリックで該当箇所にジャンプ!
ナスの仕立て方、剪定の仕方を教えてください。
秋ナスを収穫するにはどうすればよいですか?
ナスの株が大きくなりません。なぜですか?
ナスがつやが無くて硬い実が出来ます。なぜですか?
ナスの花が落ちてしまいます。なぜですか?
ナスの実にかすり傷のような茶色い傷が出来ます。なぜですか?
ナスにアブラムシがついて困ります。対策はありますか?
ナスの追肥の仕方を教えてください。株元に与えればよいですか?
ナスの実が全然つきません。なぜですか?
冷凍・冷蔵保存方法
冷凍・保存のポイント
- 冷蔵保存は1本1本ラップで包む
- 冷凍は油で揚げてから冷凍
冷蔵庫にむき出しで保存しておくとナスがシナシナになります。ほとんどが水分のナスは1本1本ラップに包んで袋に入れておくと、10日ほど日持ちします。
また、収穫した野菜を入れる袋を一工夫するだけで、長持ちします。野菜から出るエチレンガスを吸収して鮮度を保ってくれる袋が売っています。
そこまで高くなく、野菜をおすそ分けする際にも喜ばれるので、冷蔵庫で腐らせてしまう人にもとてもおすすめです。
ナスは冷凍すると食感がグニグニになって美味しくないといわれますが、冷凍方法を工夫しましょう。
フライパンに半分ほど油を入れて切ったナスを170度で2分程揚げます。そのまま冷ましてバットに入れて冷凍しましょう。凍ったらジップロックに移します。
冷凍ナスはそのまま炒め物には向かないので、味噌汁・カレー・ラタトゥユなど煮る系の料理に使うと味が染みて美味しいです。
大量消費レシピ
おいしいレシピ
- ナスの煮びたし
- ナスの甘辛炒め
ナスの大量消費におすすめなのはナスの煮びたしです。
煮びたしを作って冷蔵庫に入れておけば、夏のそうめんと一緒に食べると最高です。
甘辛炒めもご飯があうのであっという間に3~4本消費出来ます。