家庭菜園で出来る半身萎凋病の簡単な対策と駆除の仕方を学びます。
- 半身萎凋病が発生する原因
- 半身萎凋病の予防方法
- 半身萎凋病の治療方法
ポイント
ナス科の野菜に多く発生、葉が半分しおれたりして最終的には株全体が枯れます。
発生した場所では太陽熱消毒をして次に予防するのが大切です。ブロッコリーの輪作もおすすめ。
農薬での治療はベンレート水和剤が効果的。
半身萎凋病被害状況と発生する原因
発生する時期と気温
- 気温:22度~26度
- 時期:5月~8月頃
半身萎凋病の症状と原因
- 発生初期は下の方の葉に黄色い病斑ができる(緑色がぼやける感じ)
- しおれて葉っぱの縁が少し巻き上がる状態になる
- 株の片側の葉がしおれる
- 株全体がしおれて枯れる
- 土の中にいるカビ菌が原因
18℃以下の低温、30℃以上の高温では発病しにくいです。しかし、梅雨など降雨が続く時期には発生しやすくなります。
半身萎凋病かどうかを確認する方法は、発生した株の根元を切ることです。
切った根元の茎の中央にある丸(維管束)が茶色になっていれば、半身萎凋病の可能性があります。
青枯病と似ていますが、比較すると茶色の程度が薄く、明瞭でない場合が多いです。
半身萎凋病の原因はカビ菌です。
カビ菌が葉の裏表にある気孔から侵入し症状が発生します。残渣をすき込んだ際に残っている菌が翌年まで越冬し、再び発症することもあります。
風や振動によってカビが空気中を漂い、他の植物に感染が拡大します。
半身萎凋病の被害が出る野菜
半身萎凋病はナス科の野菜、それ以外の一部の野菜に発生しやすいです。
葉菜類
半身萎凋病の防除・予防対策
防除・予防の2パターン
- 無農薬で出来る予防法
- 農薬を使う予防法
【無農薬】防除・予防方法
無農薬で予防する
- 水はけと泥はね対策(畝高にする・マルチをする)
- 肥料過多にならないように注意する
- カニガラを土に混ぜる
- 半身萎凋病に対抗性がある接ぎ木を選ぶ
- ブロッコリー・からし菜と輪作を行う
水はけと泥はね対策
水分過多の場所で発生しやすいので、水はけの悪い土地では高畝にして排水をよくすることが大切です。
マルチシートは加湿になってしまうので「稲わらなどを敷いて風通しは良く、水はねからの病気感染も防ぐ」という方法は効果的です。
肥料過多にならないように注意する
窒素分やリン酸が多くなると発生しやすいので肥料管理をしっかり行うことも大切です。
マイガーデンベジフルは、窒素成分が多くないため、家庭菜園でおすすめの追肥としても使える肥料です。
カニガラを土に混ぜる
苗の植え付け前に、土づくりの段階で1㎡あたり100g~300gのカニガラを土に混ぜておきましょう。遅くとも植え付け2週間前には入れましょう。
少量ずつ毎年継続的に入れるというのが良いと思います。
半身萎凋病はカニガラ(カニの殻)を土に混ぜる事で、半身萎凋病菌(カビ菌)を分解してくれる放線菌が増えます。
その結果、半身萎凋病の発生確率が減少したという研究結果があります。実験では1㎡あたり1㎏入れていますが、入れすぎると窒素とリン酸を含んでいるので肥料過多になります。
食べたカニの殻を砕いてもよいですが、そんなに一般の家庭では食べる事がないと思うので、カニガラだけの資材を買うのがおすすめです。
対抗性がある接ぎ木を選ぶ
家庭菜園で一番簡単に予防できる方法は、接ぎ木(つぎき)を使うことです。
ナスなどにはトナシム、トルバム・ビガー、ミートなどの台木を使った接ぎ木が販売されていますので、これを利用することで病気を抑えられます。ただし、これ以外の種類の台木では効果がないため注意が必要です。
ホームセンターで売っている接ぎ木苗が必ずしもこれらの台木を使用しているとは限りません。表記だけでは分からないことが多いので、店員さんに確認するか、確実を期すなら種苗店で購入することをおすすめします。
種苗店では、接ぎ木苗がどの台木を使用しているかを把握していることがほとんどです。
ジャガイモの場合は、無病種いもを使って栽培しましょう。それでも病気が発生することがあるため、土壌消毒が重要です。
ブロッコリー・からし菜と輪作を行う
3年以上同じ場所でナス科の野菜を作っていなければ、発生が抑えられるという報告があります。
同じナス科の野菜(トマト、ジャガイモ、ピーマンなど)を連作しないように、輪作を心がけましょう。
輪作する際には、ブロッコリーやからし菜を栽培し、その残渣(収穫後の残りの苗など)を土にすき込むのが効果的です。
ブロッコリーやからし菜(アブラナ科)の残渣を土にすき込むと、土の中の菌の密度が下がり、発生が抑制されるという研究結果があります。
【農薬】防除・予防方法
農薬で予防する
- ベンレート水和剤
農薬は、同じ病気や害虫に対しても、使用できる野菜の種類が決まっています。そのため、野菜ごとに使用する農薬を分ける必要があります。
農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、その作物に適した薬剤を選びましょう。農薬は劇薬であるため、子供の手の届かない場所に保管してください。
予防効果と治療としてベンレート水和剤が効果があります。
作物によって使用時期や期間が違いますが、ナスの場合は収穫の14日前から使用と記載があります。
収穫直前に使うと2週間は収穫できないので、発生が予想される場所で育てている場合は植え付けから2週間くらい経ってから使用すると収穫時期と干渉しなくて良いでしょう。
半身萎凋病の治療方法と発生後の対策
発生した場合の対処法
- 土壌消毒(太陽光消毒)などで菌を殺す
- 農薬でも治療方法は無い
発生後の対策
発生後の対策
- 太陽熱消毒で菌を殺す
いったん発病すると、残念ながら治療方法はありません。発病した株は、株ごと引き抜き、畑の外に持ち出して焼却処分やゴミとして処分します。
畑の中で土にすき込むと、土に菌が残り、翌年に再発したり、他の野菜に広がる原因となるため、必ず外に持ち出します。
半身萎凋病の菌は太陽熱の高温で死滅するため、「太陽熱消毒」は家庭でできる有効な方法です。ただし、土の温度が十分に上がる夏にしか行えないので注意が必要です。
発生した場所に次に野菜を植える際には、再発を防止するための対策を講じましょう。
農薬を使った治療方法
治療に効く農薬
- 農薬でも治療方法は無い
農薬は、同じ病気や害虫に対しても、使用できる野菜の種類が決まっています。そのため、野菜ごとに使用する農薬を分ける必要があります。
農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、その作物に適した薬剤を選びましょう。農薬は劇薬であるため、子供の手の届かない場所に保管してください。
発生してしまった半身萎凋病を治す農薬はありません。
予防する事が大切なので、ベンレート水和剤を事前に使って予防しましょう。