- トンネル栽培の手順と代用方法
- 各資材のメリット・デメリット
- トンネル栽培でよくある質問
家庭菜園で少し慣れてきた時に気になるのがトンネルです。
トンネルは様々なメリットがありますが「ハードルが高そう・・・」と敬遠しがち。
実はそこまで難しい事はなく、ぐーんと収穫する野菜のレベルが上がるので是非チャレンジしてみてください。
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トンネル栽培の目的と効果!メリット・デメリット!
トンネルの良いポイント
- 寒い時期から植えられて収穫時期が長い
- 防虫効果があり野菜が綺麗に栽培可能
トンネルの悪いポイント
- 資材をそろえる必要がある
- 資材は永遠には使えない
- トンネルを開けたり温度管理も必要
メリット①寒い時期から植えられて収穫時期が長い
トンネルは掛ける資材によって効果は変わりますが、ビニールを張った場合はトンネルをした中の温度が上昇します。
まだ寒い季節に植え付けができ、通常の気温だと低すぎて育たない場合でも栽培ができます。
小さいビニールハウスのようなイメージです。
寒冷地で気温が低くトンネルを使わないと十分に育たないような野菜も育てる事が出来たり、まだその野菜を育てるのが早い時期にトンネルなら植え付けができたりします。
早く植えつけられると収穫が長く続く野菜なら収穫出来る期間も伸びるので収穫量が増えるというメリットがあります。
メリット②防虫効果があり野菜が綺麗に栽培可能
トンネルで防虫ネットをすると野菜を覆う事で野菜に害虫が寄り付かないので、病害虫の被害を防ぐことができます。
例えば、葉物野菜などが代表的な例です。
アブラナ科(チンゲンサイ・小松菜など)の野菜は防虫ネットをしないと葉を虫に食べられて収穫する時にはボロボロで食べられないというのは経験した事がある人も多いはず。
虫食い被害を防ぐ為に防虫ネットをトンネルで張ることでキレイな野菜が収穫出来るので、葉物野菜などトンネルが必須の野菜もあります。
デメリット①トンネルするのに資材を揃える必要がある
トンネルはメリットが多いですが手間と最初に準備する資材にお金がかかります。
トンネルは資材を一式そろえないといけないので、まずは資材を購入する所から始まるので少しハードルが高いです。
ただし、資材は何度も使え、何年にもわたって使えるので本格的に家庭菜園をやる人は揃えておくと良いです。
デメリット②資材は永遠には使えない
トンネル資材の寿命
- ビニール・・・4~5年
- 不織布・・・2~3年
- 防虫ネット・・・5年以上
- 支柱・・・折れない限り永遠
- パッカー・・・永遠
せっかく揃えた資材でも種類によっては永遠に使えない物もあります。
支柱とパッカーは折れない限りずっと使えますが、上にかける資材は寿命があります。
ビニールは一般的に4~5年、不織布は2~3年ほどで破れてしまい新しく購入する必要があります。
ただ、不織布などは多少破れても見栄えは悪いですが使えますし、ビニールは丁寧に使えば結構長く使えます。
デメリット③トンネルを開けたり温度管理も必要
かける資材が「ビニール」の場合、トンネル内の温度が上がりすぎるので温度調整が必要です。
気温が上がる前の朝に裾を少し開けて、気温が下がった夕方に閉めしないといけない手間が発生します。
小さいビニールハウスのようになるので、日中は温度が上がりすぎて逆に苗を痛めてしまい成長が阻害されてしまったり枯れてしまったりする事になります。
これを防ぐためには、市民農園に週末通っているなど毎日手間暇かけられない場合も多い家庭菜園ではビニールを使う場合は「穴あきタイプ」を使用するのがベストです。
穴あきビニールは温度管理の為に定期的に開け閉め不要、水やりも穴から出来る、温度もしっかり上昇するのでメリットだらけです。
ビニール以外の「寒冷紗」「防虫ネット」などは風も通すので掛けっぱなしで問題ないです。
トンネルに必要な3つの資材
トンネルに必要な物
- 被覆材(かけるもの)
- 支柱(支えるもの)
- 固定資材(とめるもの)
被覆材(かけるもの)
トンネルにかける物
- 防虫ネット
- 不織布(パオパオ)
- 寒冷紗
- ビニール
- 遮光ネット
トンネルを作ると色々な資材をかける事ができ、かける資材によって効果が違います。
虫が入って葉を食べられないようにする防虫ネット、寒さを防止する不織布・寒冷紗、小さいビニールハウスのようになるビニールにも色々な種類があります。
支柱(支えるもの)
トンネルの支柱
- ダンポール(グラスファイバーポール)
- トンネル支柱(アーチパイプ)
トンネルを作るには上から掛けるネットを支える支柱が必要になります。
支柱は主に2種類あり「ダンポール」と呼ばれる1本の長い柔らかい棒をアーチにして曲げて土にさして使う方法と、「元々アーチ状になっている支柱」を土にさして使うパターンがあります。
家庭菜園ではダンポールが非常におすすめです。
ダンポールは1本の長い柔らかい棒なので、長い物を置けるスペースが必要ですが、非常に軽いので女性でも持ち運びしやすく、管理も簡単、太さ・長さも色々あります。
支柱以外にも掛けた被覆材をが風で飛んでいくのを防ぐために、固定するのにも使えて便利です。
固定資材(押さえるもの)
ネットを固定する物
- パッカー
- ダンポール(グラスファイバーポール)
- マイカー線
- 洗濯ばさみなどのクリップ
- ピン
支柱をアーチ状に作って、被覆材を張ったら、そのままの状態だと風で掛けた被覆材が飛んでいってしまうので支柱にネットを固定する必要があります。
固定するには様々なやり方がありますが、家庭菜園ではパッカーが簡単にしっかり止まって便利!
パッカーは支柱のサイズとパッカーのサイズが同じじゃないと入らないのでサイズに気をつける必要があります。
農家ではマイカー線と呼ばれるビニール線を使いますが、家庭菜園ではもっと簡単にするなら支柱として使うダンポールを使えばビニール被覆材が飛ばないようにできます。
家庭にある洗濯ばさみやクリップなどでも留めることができますが専用のパッカーほどしっかりとまらず、サイズに気をつけないと風で飛んでしまいます。
【計算表】トンネル被覆材の横幅・長さ/トンネル支柱の長さ・太さ/パッカーの選び方
ザックリ計算:畝(うね)の横幅からわかる事
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ザックリ計算:畝(うね)の長さからわかる事
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上にかけるビニールなどの被覆材は「長さ・横幅」の選び方に注意が必要です。
被覆材を選ぶ時に畝(うね)の横幅(短い所)と縦幅(長い所)と全く同じサイズで購入するとトンネルを作る時にサイズが合わないので注意が必要です。
支柱も「長さ・太さ」の選び方に注意が必要です。
同じ資材(例えばダンポール)でも、長さと太さが違うなど色々種類があります。作りたい畝(うね)の横幅や作りたいトンネルのアーチの高さによって選ぶサイズが違います。
サイズをあらかじめ考えないと「防虫ネットを掛けたけどサイズが小さくて裾に土を被せられない」「支柱の高さが足りなくて果菜類を育てたいけどすぐに大きくなって天井に野菜が到達してしまい使えない」という事になります。
私も間違えましたが、最初に作る畝(うね)のサイズと高さをしっかりと確認してから買うようにしましょう。
詳しい畝(うね)別のサイズ計算は「トンネルを作るのに必要な資材の計算方法」にて紹介しています。
家庭菜園で出来る簡単なトンネルの作り方
トンネルの種類
- トンネル(通常)・・・基本はこっち
- トンネル(観音開き)・・・真ん中でパカっと割れて開閉が楽
かけるものによる違い
- 防虫ネット/寒冷紗/不織布・・・パッカー&ダンポール
- ビニール・・・マイカ線orパッカー&ダンポール
トンネルの方法は色々ありますが、基本の方法を覚えて自分のやりやすい方法や資材にアレンジしていけばよいです。
通常のトンネルの作り方と観音開きというトンネルを開きやすい方法の2つを紹介します。
春や初夏にビニールをかけて使う場合は掛けっぱなしではトンネル内の温度が上がりすぎて苗が傷んでしまい逆に生育しない事にもなります。
通常の方法でも裾を上げればよいので、観音開きにしなくても換気の温度調整も出来るし、効果に違いはないのでまずは通常の方法をマスターしましょう。
ビニールをかける場合は、ビニールが飛ぶのでマイカ線で固定する方法とパッカー&ダンポールを使って固定する方法があります。
家庭菜園ではパッカーを使う方が簡単なのでパッカーがおすすめ。防虫ネット等は風を通すのでしっかり押さえるマイカ線は一般に使いません。
トンネル(マイカー線使う場合):準備中
トンネルの手順を紹介!知りたい方は下記をクリックしてください。
トンネル(パッカーとダンポールを使う場合)
トンネルの手順を紹介!知りたい方は下記をクリックしてください。
トンネル(観音開き):準備中
観音開きのトンネルの手順を紹介!知りたい方は下記をクリックしてください。
トンネルの換気方法と温度管理
日中トンネル内を30~32度以上にならないように管理するのが基本です。一般に作物の生育が順調に行なわれる温度の最高は30~35度の間にあり,それ以上の高温は生育速度をにぶらせ40~45度付近に生存の限界があるとされています。
引用:換気の温度上昇の研究結果
私もずっと疑問に思っていた「ビニールトンネルで温度管理はどうしたらよいのか問題」の結論です。
「家庭菜園では穴あきビニールを使うのがベスト。穴あけならビニールの裾の上げ下げは不要で常時かけっぱなしにして良いが、最高気温が23~25度以上の日は穴あきタイプでも裾をあげて換気が望ましく、最高気温25度以上が続くようになったら裾を常時上げる・もしくは外す」です。
朝・夜に気温に応じて裾を上げ下げ出来るなら「穴の無いビニール」でも良いですが穴なしは簡単に40度を超えるので玄人向きの方法です。
家庭菜園は細かい気温による判断は難しいので穴あきビニールを使って栽培するのがベストです。
トンネルの代用方法
トンネルの代用方法
- べたがけ
- 行燈(あんどん)
- ゴミ袋をかける
トンネルをするのは資材をそろえたり、裾上げしたりと作業が多いので結構大変です。
そこで、トンネルをせずともトンネルと同じような効果を発揮する家庭菜園で出来る方法を紹介します。
べたがけ
べたがけのメリット
- 防霜・防寒・防暑=保温と暑さ対策
- 防風=苗を守る
- 防虫・防鳥=苗を守る
不織布、寒冷紗を使って作物の上にふわっとかける方法です。
トンネルと違い支柱も必要ないので掛けた資材を石・土・マルチ押さえなどで固定するだけ。
例えば、枝豆などの豆類を種で植える時に不織布をべたがけしておけば鳥に食べられるのを防げます。ペットボトルなどで苗を1本1本守るより広い範囲を簡単に出来ます。
また、暑さをしのいだり、霜の被害を防いだり、風で苗が弱ったりするのを防ぐ効果も。
防虫ネットをべた掛けしても掛けてあるだけで虫が入る為、軽い予防程度にしかならず本来の効果は発揮できません。
べたがけは不織布をやるのが一般的です。
あんどん
あんどんのメリット
- 防寒=保温対策
- 防風=苗を守る
- 防虫=苗を守る
肥料袋やゴミ袋の上下を切って上から見た時に□や△などの形に苗を囲む方法。
トマト・きゅうり・ナスなど夏野菜の苗を植え付けのタイミングでまだ寒い時期にやる事が多いです。
気温や風から守るだけではなく、例えばきゅうり栽培で問題になるウリハムシの飛来も抑えられる実は非常に優秀な方法です。
上が空いているため裾上げなど必要もなくトンネルより手間がかからないので、苗の本数が少ない家庭菜園では非常におすすめの方法。
ビニールをかける
ビニールをかけるメリット
- 防寒=保温で成長促進
- 防風=苗が痛むのを防ぐ
- 防虫=病害虫を防ぐ
4本以上の支柱をたてて、家にある45Lのゴミ袋を被せて洗濯ばさみなどで留めるだけ。
苗が少ない本数だと家にある物で簡単にできるので便利。トンネルよりも設置の手間もかからず、ビニールハウスのような効果が出せます。
保温効果が高いので、暑さを好むナスやピーマンなどの植え付け後の初期成育に向いてます。
ハサミやカッターなどでいくつか直径10センチくらいの空気の穴をあけると換気になってよいです。
トンネル栽培でよくある質問
トンネル栽培でよくある質問
トンネルをした後に水やりをする方法は?
トンネル栽培で困るのはビニールを被せた場合に水やりをどうするのかです。
解決策は、家庭菜園では穴あきタイプのビニールを使う事です。
穴の無いビニールを買ってしまっても、自分で穴をあけることができるので心配無用。
基本的に晴天が続いて雨が降らない場合を除き雨が穴から入るので水やりはいりません。
もし、水やりする場合でも穴からジョウロで水やりができます。農家は穴の無いビニールを使う事がありますが、潅水チューブという資材を使うから。
不織布や防虫ネットなどは水を通すのでそのまま上からかけます。
トンネル栽培が必要な野菜は?
トンネル栽培はどの地域でも虫食いに合わないように防虫ネットを掛ける必要がある葉物野菜の栽培に必須です。
例えば、アブラナ科の小松菜・キャベツ・白菜などです。
その他にも防寒目的でナスやピーマンなど夏野菜の植え付けの時などにも使ったり、冬の時期にほうれん草などを少し早い時期から栽培するために使われたりもします。
暑い地域なのか寒い地域なのかでトンネルをして育てないといけないのかが違うため、必要な野菜が決まっているわけではありません。
トンネル栽培がいらない野菜は?
トンネル栽培はしないと野菜が育たないわけではなく、虫食いにあったり生育がうまくいかない事を防ぐ為の方法で野菜を上手に育てる方法と考えましょう。
基本的に、トマト・きゅうり・ナス・ピーマンなど果菜類でもトンネルせずに栽培可能です。
例えば、ナスを育てるのにトンネル栽培は必須ではないですが、植え付けの時に保温をしておくとその後の成長が大きくなり収穫UPが望めます。
野菜の種類だとハーブ・豆類などはトンネルはいりません。
どのタイミングでトンネルをする?
保温する目的なのか、防虫する目的なのかによって時期やタイミングが変わります。
防虫目的は種まきの時に一緒にトンネルで防虫ネットを張るべきです。
生育してから防虫ネットを張っても、設置が遅れた事により既に卵が野菜に植え付けられており、ネットの中で虫が育つなどにつながります。土の中に虫が既にいる場合もあるので防虫ネットでも完璧には防げません。
どのタイミングでトンネルを外す?
ビニールトンネルを外すタイミングは保温が必要では無い気温になったら、もしくは野菜の背丈が掛けている資材の頂点に達したらが目安になります。
トンネル栽培の管理で大事なポイントは、日中トンネル内を30~32度にならないように管理するのが基本です。
暑くなっても朝開けて夜閉めるという作業を繰り返していれば問題無い事もありますが家庭菜園ではそこまでメンテナンスは出来ないと思うので日中の気温が20度後半を過ぎてきたらビニールは外してもよいかもしれません。
トンネル資材の保管方法は?
使わない時に、被覆材(不織布・ビニール・防虫ネットなど)は雨や直射日光が当たらない室内で保管するのが基本です。
直射日光や雨にあたると資材は劣化するので長く使う為には大切に管理するのも大事です。
あまりに汚れが酷い時は、雨が降る場合1~2週間程布団を干す要領で干しておく等すると汚れが落ちます。
たたんだ状態で縛って肥料袋に入れて保管、長さのある支柱や木の板を芯にして巻きつけて保管、布団を干す時の様に棒にかけて保管する等の方法があります。
プランター栽培でもトンネルはできる?
プランター栽培でもトンネルは可能です。
支柱を刺せる場所があるタイプのプランターも販売されてます。専用プランターがなくても、土にそのまま支柱を刺しても問題ありません。
ダンポールを切って刺したり、100円ショップで売っている支柱や「洋ラン線」を曲げて支柱にして、ビニールや防虫ネットを掛けると上手にできます。