- 風・雪対策でビニールハウスの基礎を補強する方法
- パイプとトップアンカー杭を使って補強するやり方と必要材料
- パイプとトップアンカー杭を使う補強効果
ビニールハウスの基礎補強を資材を自分でそろえて南栄工業OH-4575にしました!簡単に資材が揃うので専用のセットを買う必要はありません。雪・風補強に効果抜群で、風で飛んでいく心配が減ります。
ビニールハウスの風・雪対策で補強が必要か調べる方法
ビニールハウスを基本セットで建てただけでは十分な雪・風への対策が出来ていない場合がほとんどです。
通販で購入する場合の注意点は、最低限の必要な状態で基本セットは売っているのでオプションなどで補強しないと風や雪で潰れたり・飛んで行ったりする可能性が高いです。
ハウスをホームセンター(コメリ)で購入を検討してスタッフに相談しましたが、北海道では通常キットだけでは潰れる可能性が高いので補強したほうが良いといわれました。
積雪量によって倒壊する可能性があるので自分でDIYで作る場合は「そのエリアで雪・風対策の補強が必要なのかを調べる必要」があります。
自分のエリアで風速・雪の深さを調べて補強が必要かどうかを判断する方法は「ビニールハウスの風や台風対策」で紹介しています
今回の補強は、風対策にもなりますが雪対策にも効果を発揮する方法です。
ビニールハウスの基礎を固定して補強する3つの方法
- セメントで固定する
- 重りをつけて固定
- パイプで根がらみを設置する
ビニールハウスは中に大風が入ると、外側に張っているフィルムが風船のようになってぷくーと空に飛んでいく力が働くので飛んでいく可能性があります。
台風などで地面にさしているアーチパイプが抜けて崩壊している写真を見たことがある人も多いはずです。
風によってアーチパイプが抜けないようにする「ビニールハウスの基礎の地面の中での補強(風対策)」には3つのやり方があります。
セメントで固定する
1つ目が「セメントでハウスの4つ角を固定してしまう方法」です。
大型のハウスなどでは実際に業者によって行われているやり方ですが、家庭菜園ではセメントを作ってハウスを作ると簡単に撤去出来ない、セメントを作るのが大変などマイナス要素が大きすぎます。
この方法は強度はありますが、DIYでやっている私は選びませんでした。
重りをつけて固定する
2つ目がハウスの横につけて地中に埋めるパイプに「地中で針金を使って重り(ブロック)を固定する方法」です。
こちらのサイトで実際にやっている人がいました。
簡単なやり方というメリットがあります。
補強効果が不明(データが無い)、抜けないような強力なハリ金を用意しないといけない、雪の重みによる沈下には効果がない等デメリットもあります。
直管パイプで根がらみを設置する
そして、一般的に行われている一番おすすめ方法が「ハウス横につけて地中に埋めるパイプを「トップアンカーで固定する方法」です。
このパイプを設置する事を「根がらみ」といったりします。先ほど紹介したブロックで固定するのをアンカーで固定する違いです。
私もこの方法でパーツをそろえてDIYをしましたが、これなら大風がきても地中のパイプがハウス全体をおさえてくれるので、パイプが抜けてしまう事は無いだろうなと思いました。それくらい頑丈です。
作業自体は簡単ですが、いくつか抑えるポイントがあるので後ほど紹介します。
根がらみを設置した場合の補強効果とメリット(雪・風対策)
風対策効果:耐風効果が10%UP
雪対策効果:雪の沈下防止効果
根がらみを設置する事で風対策にも雪対策にもなります。
作業自体は簡単なのに、風への効果が非常に高いので様々な補強方法の中でもおすすめです。
雪の無い地域では関係ありませんが、ハウスに雪が積もると、ハウス全体が雪で重くなって地中に年々沈下していきます。
何十年も使うので、最初は高さがあったけど徐々に天井が低くなっている・・・とならずに沈下防止になるので雪国に住んでいる場合でも是非やっておきたい補強です。
根がらみ設置で必要な材料は7種類
パーツの名前 | 用途など |
---|---|
単管パイプ | 横通しのパイプ(太さは22㎜か19㎜でOK) |
クロスワン | アーチパイプと横通しのパイプを固定 |
トップアンカー杭 | 杭で横通しのパイプを固定する場合に使う |
コンビネーションレンチ | トップアンカー杭を埋めるのに必要 |
ジョイント | 単管パイプ同士を繋げて長くする |
パイプカッター | パイプの長さを調整 |
穴ほり機 | トップアンカー杭を埋める下穴をあけるのに使う |
それぞれのパーツをそろえるときの注意点を紹介します。
単管パイプ
まずはハウスの側面の地中に1本埋める長いパイプです。
結論から言うと、パイプの太さに決まりはないですが19.1mm・22.2mmを選びます。
ビニールハウスで使われているパイプは、外径が19.1mm、22.2mm、25.4mmが一般的で、雪国では31.8mm、48.6㎜という太いサイズも売っています。
南栄工業OH-4575では、アーチパイプが25.4mm、横に通すパイプは19.1mm、22.2mmが基本セットになっています。
下のリンクは単管パイプ(外径48.6㎜)の建築の足場で使われる太い種類です。今回のパイプはこんな太さはいりません。
通販では売っていませんでしたが、ホームセンターで、直管パイプ・ステンレスパイプ・メッキパイプなどの名前で売っているので、サイズを探して選べば問題ありません。
長いものになるので、無料貸し出しトラックをレンタルして運べばよいでしょう。
クロスワン
先ほど横通しした直管パイプを、ハウス本体のアーチパイプとつなげるためのパーツです。
「アーチパイプの太さ×横通しパイプ(今回補強するパイプ)」とサイズがあるので気を付けましょう。
すべてのアーチパイプと接続するので、アーチパイプの本数分必要になるのでかなりの個数になります。私のハウスでも片側で14個も必要で、すべてで28個です。
ホームセンターは取り扱いが基本的には無く、取り扱っていても個数的に在庫がない事がほとんどなので通販で買いましょう。
トップアンカー杭
もっと強力にパイプを固定したい場合に使うのがおすすめなのが「トップアンカー杭」です。私も使いました。
パイプをクロスワンでハウス本体に固定していますが、さらにこのパイプを地面から浮き上がらない用に固定するための杭です。
先端にパイプをひっかけるC型の箇所があり、上は六角、地面にさす側には螺旋の金属部分があります。
この後、アンカー杭は種類があるので詳しく説明します。
「トップアンカー杭」という名前の杭を使い、下の画像の普通の「らせん杭」では太いパイプの場合は固定できません。
コンビネーションレンチ 24㎜
トップアンカー杭を回すのに必ず必要です。
アンカーの先端の六角形にひっかけて回すことで、アンカー杭が地面に埋まっていきます。
モンキーレンチのようなC型だと回すのがうまくいかないので、丸くかぶせられるタイプがやりやすいです。
自分の買うアンカー杭のサイズによりますが、私が勝ったのは24㎜のヘッドで回るタイプでした。
ジョイント
パイプの長さが売っているサイズでは足りない事があるでしょう。
ビニールハウスの長さによりますが、ハウスの長さが10mとかになるので、普通は1本4mくらいで売っているパイプでは長さが足りません。
そこでパイプ同士をつなげて長くするパーツが売っています。
ホームセンターでは見た事がないので、パイプの太さに注意して合うサイズを通販で買いましょう。
パイプカッター
横通しのパイプをジョイントでつないで長くした場合に、パイプが逆に長すぎて長さが合わないでしょう。ピッタリのサイズになる事はほぼないです。
逆に短くしないといけないこともあるので、パイプカッターを使ってカットして長さ調整します。
女性でも簡単に切れる非常に不思議なカッターです。
穴ほり機
600㎜のアンカー杭を使い20㎝掘った場所に杭を埋めるため、地面から深さ80㎝の所までアンカー杭を埋める必要があります。
短いパイプでくるくる回せば勝手に埋まるだろうと思いますが、地面は深くなればなるほど固い地盤になります。
まずは下穴をあけておかないと、まったく歯が立ちません。
私が使ったのは、先端が尖ってて、力で突いて穴をあけていくタイプをホームセンターで見つけて買いました。
電動機械でもいいですが、高いし他に用途がないので手で回すタイプが一番便利だと思います。
トップアンカー杭を使う場合の注意点とそれぞれの杭の特徴
種類 | 先端の穴 | 対応するパイプと穴の大きさ | 仕組み | 取り付け方 | ぬける力 |
---|---|---|---|---|---|
らせん杭 | 丸 | 10㎜ほど | らせん状のグルグル | 先に杭を埋めて後からパイプを通す | 通常 |
アンカー杭 | 丸 | 10㎜ほど | 先端にアンカー | 先に杭を埋めて後からパイプを通す | らせん杭の3倍 |
トップアンカー杭 | ひっかけるタイプ | 22㎜でも可能 | 先端にアンカー | 先にパイプを埋めて後から杭をかける | らせん杭の3倍 |
地中に埋めたパイプを更に抜けないように固定したい人は杭(600㎜)をパイプに固定します。固定するのがおすすめです。
結論から言うと、22.2mmのパイプか19㎜の横通しパイプを使う人は「トップアンカー杭」を使います。
トップアンカー杭は通販で見つけられませんでしたが、ホームセンター(ジョイフルエーケー)では売っていましたので探してみてください。長さは600㎜は必要です。
画像の左側が「らせん杭」で、右側の上の杭が「アンカー杭」です。
使い方はどちらも同じで、短い棒を先端の丸に通してくるくる回すと地面に刺さっていき、丸の中にパイプを横通しすればパイプが固定される仕組みです。
アンカー杭の方が先端に土に引っかかる部分があるので、地層の深い硬い層にひっかかるので引き抜きの力がらせん杭よりも3割ほど強く、より地面に強く固定できます。
今回のハウス補強で、パイプを固定するのには「先端の丸」にパイプを横通ししないといけませんが、らせん杭はどれも丸が小さくてパイプが細くないと通りませんでした。
つまり、「らせん杭」を使いたい人はパイプを10㎜など細くする必要があります。しかし、この細いパイプにした場合、対応するクロスワンがない・・・・という事に。
10㎜程度の細いパイプを選ぶ場合、固定がゆるゆるでもOKな人は大きいサイズのクロスワンを使って、らせん杭を使うという選択肢しかないです。
住宅街のど真ん中でやるので、絶対に飛ばしたくないと悩んでいたところ、「トップアンカー杭」は太いパイプを使っても、パイプの上からかけて固定できるので問題クリアでした。
調べたところ、トップアンカー杭はビニールハウス専用に開発された商品のようです。
らせん杭を使いたい人(細いパイプを使いたい)の注意点は、細いパイプを選ぶとクロスワンのサイズがありません。クロスワンは19㎜のパイプから対応しているので細すぎるとしっかり留まらないはずです。そのため必然的に19㎜か22㎜のパイプを使う事になり、トップアンカー杭を使用する事になる気がします・・・。
根がらみを設置する方法
それでは、実際に私が寝がらみを資材をそろえて設置した様子を紹介します。
簡単な方法でしたが、成功させるためにはハウス建設の最初からコツが必要だったのでポイントを押さえてやりましょう。
根がらみ設置の手順
画像は+をクリック
根がらみ設置の手順(画像)はここをクリック
必要な材料
- 単管パイプ・・・ハウスの側面の長さー20㎝
- クロスワン・・・アーチパイプ全てに固定
- トップアンカー杭・・・1.8m間隔で1個
- コンビネーションレンチ 24㎜・・・トップアンカー杭を埋める
- ジョイント・・・パイプを繋げる分だけ
- パイプカッター・・・1個
- 穴ほり機・・・1本
単管パイプの長さを調整する
ビニールハウスの側面に取り付けますが、前後にある妻面(入口がある場所・その逆の突き当り)のアーチパイプにはつなぎません。
妻面から前後10㎝~15㎝ずつ離した場所から全てのアーチパイプにつなげます。
大体は、妻面の次のパイプからつなげていけば良いのでパイプの長さは「ハウスの側面の長さ-20㎝(前後10㎝として)」です。
長さが4m位のパイプが最大だと思うので、ジョイントを使ってつなぐと良いです。飛び出す分はパイプカッターで切りましょう。
土を掘る(地面から30㎝ほど)
側面の土をスコップで掘ります。
ビニールハウスの外側から30㎝ほど掘りますが、アーチパイプとクロスワン接続するにはハウスの内側も掘れていないと接続できません。
ビニールハウスの内側・外側それぞれを地面から30㎝くらい掘りましょう。
地面から20㎝くらいの所にパイプを横通しするマークを付ける
30㎝ほど掘った穴がありますが、パイプをまっすぐにつける為に、アーチパイプの地面から20㎝くらいの所にマークを付けます。
ペンでつければいいです(私はポスカを使った)。
マークにあわせて横通しパイプをクロスワンで固定
マークに沿って横通しパイプをクロスワンを使ってアーチパイプと固定します。
両端と真ん中数か所を仮固定してから、全てのパイプに固定するとやりやすいです。
1.8mおきにトップアンカー杭を地面に挿す穴をあける(さらに強く固定する場合)
1.8mおきにトップアンカー杭挿して、横どおしパイプにひっかけて固定するとより強固になります。
トップアンカー杭は600㎜なので、地面から20㎝の深さに固定しているため地面から80㎝深い所まで固定する必要があります。
まずは、アンカーの位置を確認して穴掘り機で下穴をあけます。穴の位置も正確性が必要なのでパイプに引っかかるように確認しましょう。
アンカー杭は力でねじ伏せて埋める(さらに強く固定する場合)
アンカー杭の先端の六角形にコンビネーションレンチの丸いほうをかぶせます。
さきほど空けた下穴に沿って埋めていくのですが、岩盤や石にあたるととんでも無くかたいです。
健康な成人男性サラリーマンがやりましたが、とてもじゃないけど女性や年配の方ではできないだろうと思いました。
力でねじふせてやりましたが、杭が曲がったりしたので、まったく歯が立たない土があまりに硬すぎる場合は地面を掘って石などを取り除く方法も有効だと思います。
土を埋め戻す
あとは掘った土を埋め戻すだけです。
さいごに足で踏んで地面をしっかりと踏み固めておきましょう。
根がらみ設置の注意点とDIYでやってみた感想
根がらみ設置の最も注意する点は「ハウス設置の段階でしっかりと1㎜単位のずれがないようにアーチパイプを直線で設置する事」です。
私が失敗したのは、アーチパイプをまっすぐ挿していたつもりでしたが、微妙にずれていた様子(5㎜など)でハウスが完成した後に根がらみを設置しようとパイプを横に通したパイプが真っすぐにならず隙間が出来てしまいました。
このまま「クロスワン」を力で固定しようとしたのですが、横通しのパイプは22㎜と太く力では曲がりません。そのため、どうやっても全てのアーチパイプに横通しパイプを固定する事が出来ませんでした。
出来上がったビニールハウスを解体するわけにもいかず、そのままクロスワンが固定されていない場所もある状態で埋めました。
南栄工業OH4575はオプションに補強が無いので、マニュアルを見ながら完成したあとに補強をする人も多いと思いますがこの失敗を防ぐためには下記2点に注意してください。
マニュアルでいくと⑥の水糸を張って脚用パイプを刺していく段階で、水糸に沿って挿しているつもりでも、横にパイプを置くと若干㎜単位でずれている事があります。
私はこれは気にせずハウスを作りましたが、地中に埋めるパイプが太いと㎜単位でズレていても曲げられないので必ずアーチパイプを指していく最初の段階で㎜単位で調整しましょう。
まとめ
- 基礎の固定補強は自分でパーツを揃えられる
- 根がらみ以外にトップアンカー杭を使うとより効果がUP
- 風対策には10%UP、雪対策には沈下防止になる
ビニールハウスが風で飛んでいかないか心配している、風対策の補強をしたい人はとてもおすすめの方法です。
雪国で使う場合も何十年も使うので、だんだん雪の重さで沈下していくと修正が大変なので最初に補強する方が効率がいいでしょう。
太めのパイプ(19㎜以上など)を使う場合は、トップアンカーが手に入るかどうか調べましょう。らせん杭しか手に入らない場合は細いパイプを使えばいいです。