- ビニールハウスの雪対策の中柱設置に必要な材料
- ビニールハウスの雪用支柱の設置方法
- ビニールハウスの雪対策の効果
冬季間ビニールハウスのビニールをはがしている場合でも、雪用の対策をしておかないと雪が積もってパイプが曲がってしまう事になるので雪国でハウスをDIYした場合は補強をしましょう!すごく簡単です。
ビニールハウスの雪対策で補強が必要か調べる方法
ビニールハウスを基本セットで建てただけでは十分な雪への対策が出来ていない場合がほとんどです。
通販で購入する場合の注意点は、基本的に関東など雪が降らないエリアで使う事を前提に作られている基本セットなので雪国で使う場合には補強が必要なことがある点です。
もちろん夏など普通に使えますが積雪があるエリアでは「補強せずにそのまま使うと雪でパイプが潰れて倒壊する」可能性が高いです。
ホームセンター(コメリ)で購入を検討してスタッフに相談しましたが、北海道では通常キットだけでは潰れる可能性が高いので補強したほうが良いといわれました。
積雪量によって倒壊する可能性があるので自分でDIYで作る場合は「そのエリアで雪対策の補強が必要なのかを調べる必要」があります。
月最深積雪の調べ方の手順
「月最深積雪」を調べると「年間で月別に最も雪が深かった時はどれくらい積もったのか」がわかります。
気象庁が各エリアの過去の様々な計測データを公表しているので、統計開始~現在までの1位~10位の月最深積雪をエリア別に調べられるのでこれを参考に考えます。
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月最深積雪の調べ方の手順(画像)はここをクリック
「2月」を選ぶ
各地域毎に様々な過去のデータがわかります
雪が最も降るのは2月が可能性が高いので、2月を選択。
「2月の日ごとの平均値を表示」で「最深積雪」を調べる
ビニールハウスの風対策の補強で必要な数字は最深積雪がどれくらいかです。
札幌の数字だと一番雪が降る可能性が高い2月に76㎝ほど降っている様子がわかりました。
耐雪型のビニールハウスとは?
先に結論を言うと、多くても一日に20センチほどしか雪が積もらないエリア以外の豪雪地帯では家庭菜園で冬のビニールハウス管理はビニールを外すしかないです。
- ビニールフィルムを張る場合は暖房が必要
- 毎日ビニールの上の雪を除雪しないといけない
調べて分かった「最深積雪(日)」は一日でどれくらい雪が積もったかを示します。ビニールハウスがどれくらい雪に耐えられるかは、ビニールの上を除雪しないで雪が積もった場合に耐えられる高さを指します。
つまり、76㎝降った日に雪に耐えられるハウスじゃない限り、雪が降る中ハウスの上の雪を落としつづけて高く積もらないようにしないとハウスが倒壊するという事です。
ビニールハウスが雪に耐える力があるかどうかは「パイプの太さ」「アーチパイプの間隔(ピッチ)」「間口の広さ」で判断します。
南栄工業OH4575のビニールハウスは、パイプの太さが25.4mmでマニュアル通りに作るとアーチピッチが50㎝、間口5.4mです。
石川県の気象災害マニュアルによれば、アーチピッチを40㎝に狭めても22㎝の雪にしか耐えることが出来ない構造です。補強しても2倍程度の強さだと、70㎝の雪には耐えられません。
太いパイプにする、追加で補強するなど色々方法はありますが、25.4㎜のパイプセットでも20万位でしたがさらに太くすると40万円近くの見積もりになり家庭菜園レベルでは厳しかったです。
また、家庭菜園で行うには冬ビニールを張ったまま暖房を入れて管理するのはコストを考えても現実的ではなく、農家レベルで経営として考えないと出来ないです。
そこで、家庭菜園ではビニールハウスを長く使えるように、冬の管理とビニールハウスが雪の重みで曲がらないようにする補強を紹介します。
ビニールハウスの雪対策の備えと冬期の管理方法
豪雪地帯など雪が積るエリアで冬のビニールハウスの管理方法は2つあります。
「ビニールを張ったまま室内を温めて栽培する」場合と、「ビニール全て剥がして栽培をしない」場合です。
お伝えした通り、豪雪地帯では「ビニール全て剥がして栽培をしない」が家庭菜園では選択肢になります。
ハウス周辺の除雪はハウスの肩の位置までする
基本的な対策で補強の前に雪が高く積もるエリアでは「ハウス周りの除雪」は必ず必要になります。
ビニールをはがして骨組みだけで冬を過ごす場合でも、ハウスの肩の位置まで雪が積もると雪の重みでアーチパイプが曲がってしまうので肩の位置より下になるように最低限周辺の除雪はしましょう。
ビニールを張ったままの場合
- 両側を平等に除雪を行う
- 屋根の上の雪下ろしを行う
- 暖房をつける
家庭菜園ではあまり見かけないパターンですが、ハウス内でジェットヒーター等を使い温度をあげて冬期間もハウスの熱でビニールに載った雪を溶かします。天井に載った雪はハウスの両側面に落ちますがこの雪は除雪します。
両側の雪は平等に除雪をしないと側面からの圧力で片方だけパイプが曲がったりします。屋根の雪下ろしも専用の長い柄の道具があるので屋根に雪が載らないように落とし、作業をする時はヘルメットなどをしましょう。
大雪が降り耐雪を超えた量が屋根に積もっている場合、ハウスが倒壊する危険があるのでハウス内に入るのはやめましょう。必ず除雪を行ってからにします。
ビニールを全て外す場合
- ハウスの肩の高さ以下になるように両側面の除雪
- パーツがクロスしている箇所に雪が積もるので雪を落とす
ビニールを全て剥がして栽培しない場合でも、豪雪地帯では雪をそのままにしておくとビニールハウスの肩を超える高さまで雪が積もります。
肩のあたりに積もった雪は、ハウスを曲げる力が強いのでビニールを張っていなくてもある程度両側面も除雪が必要です。
パイプとパイプが交わってる場所等に雪が積もりやすいですが、この雪も重みでパイプが変形する原因になるので雪が積もったらパイプ交わっている場所の雪落としも必要です。
ビニールハウスの雪対策の3つの補強方法
- タイバーを入れて補強
- 根がらみ(地中にパイプ)を入れて補強
- 支柱を入れて補強
補強が必要だとわかったら、DIYで簡単にできる補強方法は2つです。
また。補強を検討する前に基本的な対策で補強の前に雪が高く積もるエリアでは「ハウス周りの除雪」は必ず必要になります。
具体的な高さとはビニールをはがして骨組みだけで冬を過ごす場合でも、ハウスの肩の位置まで雪が積もると雪の重みでアーチパイプが曲がってしまうので肩の位置より下になるように最低限周辺の除雪はしましょう。
タイバーや根がらみを入れて補強する方法は「ビニールハウスにDIYでT字型タイバーを設置して補強する方法」「ビニールハウスにDIYで基礎を固定して補強する方法(横通しパイプとスクリュー杭使用)」で紹介しています。
ここでは、効果の高い支柱を入れて補強する方法を紹介します。
ビニールハウス雪対策補強①タイバーを入れる
タイバーの種類 | 設置数 | 耐風向上力 | 耐雪向上力 |
---|---|---|---|
T型 | 全部に設置 | ×1.2倍 | 不明 |
T型 | 4スパン毎 | +6% | +43% |
X型 | 全部に設置 | ×1.3倍 | 不明 |
X型 | 4スパン毎 | +9% | +65% |
耐風対策にもなるタイバーは耐雪にも効果があります。
T型、X型それぞれ4スパン毎もしくは全てのアーチパイプに入れる事で効果が変わります。
全部タイバーを入れた場合、耐雪向上力を示すデータが見つかりませんでした。ただし4スパン毎に入れても大きな効果があります。
私がT字タイバーをDIYで設置した具体的な方法は「ビニールハウスにDIYでT字型タイバーを設置して補強する方法」で紹介しています。
ビニールハウス雪対策補強②基礎の地面を固定(根がらみ)する
ビニールハウス全体の10%の強度UP
耐風対策で紹介した方法で、基礎を固定する方法の中で横通しパイプを通して地中でアーチパイプとクロスさせて固定する方法があります。
この方法はハウス全体の強化だけでなく、ハウス全体が雪で沈下するのを防止する効果があるので二重の意味で雪対策におすすめです。
ビニールハウス雪対策補強③支柱(中柱)を入れる
3m毎に支柱を入れると25㎏/㎡の向上
雪対策で非常に効果が高いのは今回紹介する「ハウスの中に直管パイプの支柱を入れて、冬の期間だけハウス内に支柱を設置して耐荷重を上げる方法」です。
雪が積もらなくなれば外して保管しておけば良いので栽培をしている他の季節は邪魔にはなりません。
自分のハウスの長さに応じて必要な本数が変わってきますが、本数も簡単に計算できて調整しやすく簡単なやり方です。
セットで商品として販売はしていないので、自分でパーツを揃えて作りましょう。この方法を紹介します。
支柱(中柱)を作るのに必要な材料
商品 | 個数 | 価格 |
---|---|---|
単管パイプ(直径48.6㎜:厚さ2.4㎜) | 3m毎に設置する分の本数 | 1,780円/本 |
ジャッキベース | 支柱の数と同じ | 1,080円/個 |
足場にするブロック(平板) | 支柱の数と同じ | 448円/個 |
上部金具 (積雪支柱用) | 支柱の数と同じ | 1,375円/個 |
上部金具の注意点
単管パイプとは、工事現場の足場で使われる太さ48.6㎜の太いパイプでビニールハウスで使われるアーチパイプなどは直管パイプと言われて、厚さも薄く扱いやすい別のパイプです。
まず本数は、支柱は3m毎に設置すると良いので、自分のハウスで必要な本数を調べましょう。
次に単管パイプの長さは全然足りないと困りますが、短い場合はある程度ジャッキベースをくるくる回して高くする、長い場合は地面を掘る事で調整できるので長さは㎝単位で最初から合わせないでも大丈夫。
単管パイプはホームセンターでも大体長さが何種類か売っているので切断して調整は最終手段にしましょう。
ハウスに使う直管パイプは安いパイプカッターでも簡単に切れますが、単管パイプは48.6㎜あるので本格的なパイプカッターじゃないと切れません。
どうしても切る場合は、ホームセンターである「カット加工サービス」をうまく使うとよいです。
ここで紹介しているパーツは「上部金具 (積雪支柱用)」以外はホームセンターで手に入るので、トラック貸出サービスを使って自宅に運ぶのがよいでしょう。
上部金具 (積雪支柱用)は丸石産業という会社の上部金具で、売っているお店を見つけられなかったので、通販で購入するのが一番簡単で唯一の方法だと思います。
支柱を1セット作るのに4,683円だったので、私は3本支柱を入れたので15,000円程度で補強ができました。金額的にはそこそこですが、手間がかからず補強効果が大きいので非常におすすめです。
支柱(中柱)を設置する方法と管理の仕方
中柱を設置する方法は色々あり、私が紹介しているのは最も資材を揃えやすい単管パイプを使う方法です。他にも、竹や廃材を支柱にする方法など農家では色々なやり方があります。
動画の場合は、竹支柱を使っていてパーツも微妙に違いますがやっている事は同じです。
家庭菜園では今回私が画像で紹介している方法が資材を簡単にホームセンターで揃えやすくておすすめ。
画像は+をクリック
支柱(中柱)を設置する手順(画像)はここをクリック
必要な材料
- 単管パイプ
- ジャッキベース
- コンクリートブロック
- 上部金具
地面から天井までの高さを確認する
地面からビニールハウスの天井の一番高い所にあるパイプまでの高さをはかります。
地面をある程度ならして平らにするくらいで大丈夫、高さの調整は、ジャッキベースを上げるor地面を掘るで調整可能です。
単管パイプの長さがこの高さになるので、金具をつける分の高さを考慮してパイプの長さを決めましょう。
切る場合、パイプは「単管パイプの太さを切れるパイプカッター」もしくはホームセンターのカットサービスを利用して調整できます。
上部金具を設置する
金具は横通しパイプ(ハウス本体)の太さ×単管パイプ(支柱)の太さで種類があります。
単管パイプは48.6㎜が基本、横通しパイプは自分のハウスのサイズを調べましょう。
コンクリートブロックを設置
雪がつもり、地面が沈下すると高さが変わるのでコンクリートブロックを設置して台にします。
ジャッキベースを設置
ジャッキベースに支柱をさして、ジャッキベースを設置します。
高さはジャッキベースをクルクル回して固定、支柱が長すぎる場合は地面を掘りましょう。
支柱を設置する
支柱がまっすぐになっている事を確認して上部金具に差し込みます。
高さを調整する
最終的にきちんと高さがあっているか確認します。
ジャッキベースをくるくる回して微調整しましょう。
3m毎に設置する
3m毎に設置すると効果があるので、3m毎に同じように設置します。
冬以外の期間:上部金具だけ残して他は外して保管
雪が解けて不要になったら上部金具はつけっぱなしでそのままにします。
単管パイプなどは保管しておき、また冬になったら取り付けます。
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支柱(中柱)を設置する手順の手順(動画)はここをクリック
動画の場合は、竹支柱を使っていてパーツも微妙に違いますがやっている事は同じです。家庭菜園では今回私が画像で紹介している方法が資材を簡単にホームセンターで揃えやすくておすすめ。
雪対策で支柱(中柱)を入れる場合の注意点
支柱をまっすぐにする事
ジャッキベースで高さを調整して支柱がしっかりと張る状態にする
地面にはコンクリートブロックを入れる事
支柱を入れるのは、ハウス全体がしっかりと柱で固定されるからなので支柱が緩かったりすると支えになりません。
地面にそのままジャッキベースを置くと、ハウスの重みでどんどん気づかぬうちに沈んでしまって支えられていない状態になるので、接地面を大きくして加重を分散させるためにコンクリートブロックは入れた方がよいです。
まとめ
- ハウスの雪対策には支柱を入れるのが簡単で効果が高い
- 支柱を作るなら専用パーツ(上部金具)だけネットで注文
- 支柱は夏場は外して専用パーツだけつけっぱなし
ビニールハウスの雪対策で支柱を入れる方法を紹介しました。
材料さえ揃え終われば、非常に簡単に取り外しも出来て設置の手間もかかりませんし費用もそこまで高くありません。
パイプも太くしっかりしている支柱で何年も使えるやり方なので建設する初めの年にそろえてしまうのがおすすめ。
単管パイプの保管場所だけ確保しておけば、雪でハウスのパイプが曲がる事を防げるので非常におすすめです。