栽培計画と作業スケジュール管理の方法

家庭菜園栽培管理とスケジュール計画の立て方

家庭菜園では畝(うね)ごとに何を育てるかを「年単位」で管理する事が大切です。

面倒くさがらずに栽培計画をたてて管理すると、せまいスペースでも沢山の種類の野菜を育てられる事と上手に野菜を育てる事につながります。

私がおすすめする「栽培計画」と「年間作業スケジュール」をたてる方法を紹介します。

この記事でわかる事

  • 野菜の栽培計画と年間作業スケジュールの立て方
  • 栽培計画や年間作業スケジュールを考える時に気を付ける事
  • それぞれの無料テンプレート(エクセル)

栽培計画を立てる3つの方法!

栽培計画を作る方法

  • 手書き
  • アプリ
  • エクセル

栽培計画をする方法は大きく3つあります。

それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

手書きのメリット・デメリット

手書き

手書きの良いポイント

  • ノートやチラシの裏など書くのが楽しい
  • 年々たまっていくのが目に見えてわかる

手書きの悪いポイント

  • 作業が大変

手書きで管理するメリットはやっぱり作ることが楽しい事で、イラストなどが得意な人や書くのが得意な人は向いています。

毎年ノートに書いてためておけば眺める作業も楽しいし、作っているという感覚を楽しめます。

効率を考えない人にとっては手書きはいい方法です。

アプリのメリット・デメリット

アプリ

アプリの良いポイント

  • スマホで簡単管理
  • SNSなどがセットのサービスもある

アプリの悪いポイント

  • 作りたい野菜が無い場合がある
  • 全てを満たす物がない

スマホアプリで有名なのは「畑らく日記」「アグリハブ」「ガーデニング日記 Free」などがあります。

SNSと連動、他のユーザーの育てている野菜の状況をシェアできたりという魅力があります。

しかし実際に使ってみると、「栽培管理」「スケジュール管理」という点からすると少し不満点も。

自分の作りたい野菜が登録できるリストに該当するものがなかったり、本格的な農家向けなどであまり家庭菜園に特化して便利なアプリは見つけられませんでした。

そこで一番おすすめなのが、手書き以外であればExcel(エクセル)系のツールで自分で管理する事です。

エクセルのメリット・デメリット

Excel

エクセルの良いポイント

  • 管理が楽で色分けも簡単
  • 消しゴム不要で書き直しも簡単
  • テンプレで簡単にできる

エクセルの悪いポイント

  • パソコンの慣れは必要
  • 無料ソフトもあるが有料もあり

エクセルなら管理する際に「果菜類・葉菜類・根菜類」などで色分けも出来るし一目でわかりやすいです。

連作障害を回避するのも、野菜の種類で色分けしておけばコピペして計画が出来てビジュアル的に作りやすいです。

また、エクセルは画像も取り込めるので苗や種の袋の写真を撮っておいてPCに取り込んでおけばいつでも確認できます。

畑にタネの袋をさす人も多いと思いますが風で飛んで行ってしまう等で無くなってしまう事もあるのでパソコン管理はメリット大です。

エクセルが使える代表的な4つの方法を紹介します。

用語解説

  • 連作障害・・・同じ場所で同じ種類の野菜を育てると病害虫が発生しやすくなる現象。

Microsoft Office

一番オーソドックスなMicrosoftの公式のExcellです。

web版であれば一部機能は制限されますが無料で使えます。

有料でソフト単体で買い切りで買うとパソコンでオフラインで使えて便利ですが高いです。

libreoffice

Microsoftの正式なエクセルは高いですが、libroofficeは無料で使えるフリーソフト

栽培管理で使うには十分な機能だと思います。

エクセルとも互換性があり、スマホと連動していないのでパソコンでしか使えません。

スマホと連動して使いたい人は、エクセルデータとして保存してGoogleDrive(15Gまで無料)にアップロードすればスマホでも見ることが出来ます。

>>libreoffice(公式)

 WPS Spreadsheets(WPS Office 2)

私はこれを使っていますが、KINGSOFT(キングソフト)が販売する表計算ソフトです。

Microsoftのofficeは高いですが、ほとんど同じ機能で使えて、エクセルとの互換性もあるので、普通にエクセルと同じ感覚で使えます。

Microsoft Officeは1万円以上しますが、WPSは買い切りで4,000円ほどなので大変安いです。

栽培管理をするのには全く問題ないですし、通常の家計簿などつけるのにも十分使え、教育現場や企業でも導入されているエクセルと遜色ない使い方ができるのでおすすめです。

>>WPS Office(公式)

Google Spread Sheet

Googleのサービスでgoogle spread sheetというエクセルと同じような機能を使えるものがあります。

作ったデータはGoogleドライブに自動で保存されて便利。

Googleアカウントがあれば、Googleドライブが15Gまで無料で使えます。

アプリもあるのでスマホでも簡単に確認できますが、2年間利用が無いとデータが消えるなどの注意点も。

>>google spread sheet(公式)

年間の栽培計画を立てる3つの理由!

年間スケジュール

栽培計画を立てる理由

  • 輪作をするため
  • 連作障害を防ぎ生育が良く病害虫の予防になる
  • 収穫量も増え美味しい野菜が育つようになる

「家庭菜園程度でどこに何を植えるかの栽培計画を立てる必要は無いのでは?」と思いますよね。

2~3種類の野菜しか栽培しないなら栽培計画は不要ですが、3坪などある程度の広さや野菜の種類を育てるなら栽培計画は必須です。その理由を紹介します。

私のおすすめは「栽培計画」「年間作業スケジュール」の2つを計画することです。

まずは「栽培計画」について詳しく説明します。

理由①輪作をするため

野菜作りで考える事の一つに「同じ種類の野菜や同じ野菜を同じ場所で栽培しない」ということがあります。

例えば、枝豆は同じ場所で育てるのは2~3年は空けた方が良いです。育てられない事は無いけど、同じ場所で育て続けると病気になったり、収穫量が減ったりします。

これを防ぐために、育てる場所を変える必要がありますが野菜の育てる場所を変える事を「輪作(りんさく)」といいます。

栽培計画を立てることは輪作計画を立てることをいいます。

理由②連作障害を防ぎ生育が良く病害虫の予防になる

間をあけたほうが良い期間野菜の種類
連作可能カボチャ・サツマイモ・ゴーヤ・シュンギク・トウモロコシ・タマネギ・ネギ・ズッキーニ・ニラ・ミョウガ・行者ニンニク など
1~2年ダイコン・ニンジン・カブ・ホウレンソウ・インゲン・三つ葉・生姜・イチゴ・セロリ など
3~4年ナス・トマト・ピーマン・メロン・ハクサイ・レタス・キュウリ など
4年以上エンドウ・スイカ・ゴボウ など

同じ場所で野菜を育てると病気にかかりやすくなったり収穫量が減ったりする事がありますが、ずっと同じ場所で育てることを「連作」といい、それによって発生する障害を「連作障害」といいます。

野菜に出る症状は野菜事に違いますし、連作しても何も問題ない野菜もあります。

つまり、輪作をして連作障害が出ないようにするのがポイントです。

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理由③収穫量も増え美味しい野菜が育つようになる

野菜が病気になったり、害虫の被害にあわないようになると結果的に野菜がおいしく育ちます。

病気や害虫にやられてしまうと、何か月もかけて育てても収穫できなかったり、健康な株よりも収穫量が減ってしまうことになります。

同じ苗で育てても育てた場所で味が変わるので、輪作したり連作障害を予防して美味しい野菜を育てるために栽培計画を立てる事は大切です。

年間栽培計画を作る際に気を付ける7つのポイント

注意ポイント

栽培計画の気を付けるポイント

  • 日当たりを考える
  • 何年も同じ場所で育てられる野菜と年をまたいで栽培する野菜
  • 植え付ける季節や生育期間を考える
  • タネと苗どちらから育てるか
  • コンパニオンプランツ
  • 前年に植えた野菜を考える
  • 畑全体の5年分の輪作計画を考える

年間の畑の栽培計画を立てる際に気を付けるポイントが7つあります。

だ場所を分けて、どこでどんな野菜を育てるか決めればいいわけではないので注意です。

①日当たりを考える

日当たり野菜
良い場所を好むトマト・ナス・ピーマン・キュウリ・スイカ・メロン・カボチャ・トウモロコシ・タマネギ・大根・ニンジン・カブ・ハクサイ・キャベツ・マメ類・ブロッコリー など
日陰でも育つホウレンソウ・長ネギ・ニラ・シュンギク・コマツナ・レタス・サラダナ・ジャガイモ・イチゴ・アスパラ・パセリ など
日陰を好むミツバ・セリ・フキ・キノコ類・ギョウジャニンニク・ミョウガ など

野菜の種類によって日あたりが良いのを好む野菜・日陰を好む野菜があります。

自分の栽培したい場所の畝(うね)が一日を通して日あたりがどうかを考慮して植える場所の計画を考えます。

市民農園や貸し農園などは日当たりが良い場所がほとんどなのであまり気にする必要はないですが、自宅の庭で行う場合は周辺に家が建っているはずなので日当たりを考慮する必要があります。

②何年も同じ場所で育てられる野菜・年をまたいで栽培する野菜

連作障害にも関連しますが、一度植え付けると植え付けから何年も同じ場所で収穫が出来る野菜があります。これを「永年作物」といいます。

例えばアスパラガス・ギョウジャニンニク・ニラ・畑ワサビなどは一度植えると何年も同じ場所で生えてきて栽培が可能です。

また、いちご・ニンニクなど、春・秋に植えて翌年に収穫できる「年をまたいで栽培」する野菜もあります。

その場所では翌年の春にはまだ植えてあるので、他の野菜の植え付けが出来ないのでスケジュールを考える必要があります。

③植え付ける季節や生育期間を考える

生育期間も野菜によって違います。

例えば、栽培期間の短いラディッシュや小カブは5月に植えても6月末には収穫が可能なので、その後に収穫が遅い品種の枝豆(晩成)なら植える事も可能。

トマトやキュウリなどの夏野菜が終了したら、同じ畝で次はサヤエンドウやレタスなどを植え付けて栽培も可能です。

当たり前ですが意外と知らない事で、野菜には季節があるので、冬に夏野菜のトマトやキュウリを植えても育たないのでハウスを利用しない限り、各野菜毎にその地域で育てられる季節が決まっています

収穫時期・植え付け時期・生育期間を考慮して年単位で栽培計画をします。

④タネと苗どちらから育てるか

家庭菜園の場合は種から全て育てると時間がかかるので、苗から育てるべき野菜も多いです。

「育苗(いくびょう)」といい、市販されている種をポットで育てて自分で苗をつくる方法があります。

育苗は温度管理が出来るハウスが必要であったりするケースもあり、春に植え付けする場合は冬から種で育てておく等事前に準備が必要です。

慣れてくれば「たくさん苗が必要な野菜は育苗する」「育てたい品種の野菜が苗で売っていないから自分で種から苗にする」なども可能です。

まずは、育てたい野菜が「苗から育てるのか・種から育てるのか」を知りいつから準備をすればよいかを考えます。

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⑤コンパニオンプランツ

一緒に近くで植える事で病気・害虫を防いだり、収穫量が増えたりする相乗効果がある植物をコンパニオンプランツと言います。

栽培計画を組む時にコンパニオンプランツまで考えて植えると、無農薬でもうまく野菜を育てられる手助けになります。

栽培当初はなかなかコンパニオンプランツまで考えるのは大変ですが、栽培で相乗効果がある作物同士などメリット大です。

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⑥前年に植えた野菜を考える

前作(前に植えていた作物)の野菜・後作(後に植える作物)の野菜で相性があります。

後作に相性のよい野菜を組み合わせると病害虫の発生が少なくてよく育ちます。

逆に、相性の悪い野菜を植え付けると、連作障害と同じようなことが起こり、生育が悪くなります。

用語解説

  • 前作・・・その場所で前に育てていた野菜の事。
  • 後作・・・現在野菜を育てている場所で次に育てる野菜の事。

⑦畑全体の5年分の栽培計画(輪作計画)を考える

これまで紹介したポイントを押さえて、畑の区画を分けて5年分の栽培計画を考える必要があります。

5年というのは、輪作計画を立てるときに用いられる考え方で、どんな野菜も5年あければ大体連作障害を抑えられるからです。

栽培する場所をブロックごとに分けて、1年ずつ育てるブロックをずらして、5年後に同じ場所に戻ってくるように計画する方法をとります。

なかなか説明だけだとわかりにくいので次に、実際にこれらのポイントを押さえて5年間の栽培計画(輪作計画)を立てる具体的な方法と手順を解説します。

【実践編】栽培計画をたてる

栽培計画

栽培計画の手順

  • 畑のサイズを決め長さを記入(縦・横・通路)
  • 畑をブロック毎に分ける
  • ブロック毎に野菜の種類を分ける
  • 具体的な野菜を決める
  • 5年後までの野菜計画を決める

栽培計画(輪作計画)の立て方は野菜の種類を大きく5つに分けます。

5つの野菜の分類

  • 果菜類
  • 葉菜類
  • 根菜類
  • マメ/ネギ/トウモロコシ類
  • 永年作物

これらの野菜を5つに分けたブロックで順番に毎年育てていく方法です。永年作物はずっと同じ場所で育てる野菜で場所は変えません。

永年作物以外の4種類を、4ブロックに分けて順番に1年毎に育てる場所を変えて順番に回します。

すると、最終的には5年後に一番最初に育てたブロックに戻ってくるので輪作ができて、連作障害を回避できるという理屈です。

栽培計画の手順

栽培計画を考える具体的な手順を紹介します。知りたい方は詳細は下記をクリックしてください。

その週にやる作業がわかると忘れない!年間作業スケジュールも立てよう!

忘れない

初めに「栽培計画」「年間作業スケジュール」を決めるのがおすすめと言いましたが、最後に「年間作業スケジュール」を立てる方法も紹介しておきます。

家庭菜園でよくあるのが「気が付いたら追肥をするのを忘れてた」「トンネルをしようと思ってたけど忘れて虫食いになった」などなど。

私も経験ありますが、事前にどの週に何をするかを作業スケジュールとしてまとめておけば、その週にやる事が明確になって忘れる事がありません。

農家の人も作業スケジュールは決めているので、計画的にしっかりとやるなら最初に全て決めてしまうというのが私のおすすめのやり方です。

【実践編】年間作業スケジュールをたてる(ステップアップ)

作業スケジュール

作業スケジュールの手順

  • 野菜事にスケジュールを決める
  • 種を植え付ける時期を決める
  • 苗から育てる場合は時期を調べる
  • 畑の土づくりの準備を調べる
  • 植え付けの時期を調べる
  • 追肥の時期を調べる
  • 栽培管理の時期を調べる
  • 収穫の時期を調べる

それでは実際に年間作業スケジュールを決める方法を紹介します。

エクセルで作る作業スケジュール作成の手順

作業スケジュール作成の具体的な手順を紹介します。知りたい方は詳細は下記をクリックしてください。

栽培計画に絶対は無い!エクセルを使った栽培計画が便利

今回紹介した「栽培計画」「年間作業スケジュール」を私が使っているテンプレートを無料でダウンロードできるようにしました。

栽培計画は野菜名(別タブ)に一覧表があるので、コピペすれば科目や種類が色分けされており簡単に作れるようになっています。

エクセルが使えれば誰でも簡単に作れるレベルの内容ですが、参考までに気になる人は使ってみてください。

>>テンプレートデータ(無料)のダウンロードはこちら

2021年5月17日