家庭菜園で出来る菌核病の簡単な対策と駆除の仕方を学びます。
- 菌核病が発生する原因
- 菌核病の予防方法
- 菌核病の治療方法
ポイント
キャベツやスイカに多く発生する病気で、水が染みたような感じに腐ります。
発生した土壌では地中深くに菌を埋める天地返しをするのがおすすめ。
農薬での予防はベンレート水和剤が効果的。
菌核病の被害状況と発生する原因
発生する時期と気温
- 気温:15~20度位
- 時期:3月~11月頃
菌核病の症状と原因
- 茎の地際部や葉、新芽などに、水がしみたような感じに腐る
- 病気が進むと白いカビが生え、ネズミのふんに似た黒い塊(菌核)が発生
- 土の中にいるカビ菌が原因
気温が比較的低い春や秋に、降雨が続くと菌核病が発生しやすくなります。
発病した箇所の茎が枯れたり、発生した茎より上の部分が枯れ、株全体が枯れることもありますが、多発しない限り実害が大きくなることはありません。
菌核病の原因はカビ菌です。
カビ菌は葉の裏表にある気孔から侵入し症状を引き起こします。残渣をすき込んだ時に残っている菌が翌年まで越冬することで再発することもあります。
風や振動によってカビ菌が空気中を漂い、他の植物に感染が拡大します。
菌核病の被害が出る野菜
こんな野菜に菌核病は発生しやすいです。
根菜類
菌核病の防除・予防対策
防除・予防の2パターン
- 無農薬で出来る予防法
- 農薬を使う予防法
【無農薬】防除・予防方法
無農薬で予防する
- 水はけと泥はね対策(畝高にする・マルチをする)
- 土づくり(肥料成分・PHを調整)
水はけと泥はね対策
大雨などで水はねした土に細菌が含まれていることがあります。これらの細菌は、作物の傷などから侵入して発病することもあります。したがって、頭上から水をやるのではなく、株元に水を与えましょう。
水はねを防ぐためには、マルチシートの使用が効果的です。
土づくり(肥料成分・PHを調整)
また、窒素が過剰に溶け出す心配のない肥料を使うことをおすすめします。
マイガーデンベジフルは、窒素成分が多くないため、家庭菜園でおすすめの追肥としても使える肥料です。
酸性土壌では病害が多く発生するため、苗の植え付け段階で、どんな野菜を育てる場合も土壌のpHが6.0~6.5になるようにチェックしましょう。
【農薬】防除・予防方法
農薬で予防する
- ベンレート水和剤
農薬は、同じ病気や害虫に対しても、使用できる野菜の種類が決まっています。そのため、野菜ごとに使用する農薬を分ける必要があります。
農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、その作物に適した薬剤を選びましょう。農薬は劇薬であるため、子供の手の届かない場所に保管してください。
ベンレート水和剤がおすすめです。結球開始期より散布しましょう。
菌核病の治療方法と発生後の対策
発生した場合の対処法
- 土壌消毒(太陽光消毒)などで菌を殺したり遠ざけたりする
- 農薬でも治療方法は無い
発生後の対策
発生後の対策
- 湛水(たんすい)処理をする
- 天地返しをして菌を遠ざける
いったん発病すると、残念ながら治療方法はありません。発病した株は、株ごと引き抜き、畑の外に持ち出して焼却処分やゴミとして処分します。
畑の中で土にすき込むと、土に菌が残り、翌年に再発したり、他の野菜に広がる原因となるため、必ず外に持ち出します。
湛水(たんすい)処理とは水田に水をためる作業の事を言いますが、家庭菜園で行う事は難しいので、スコップで表層(15~30cm)の土を深度(50~60cm)の土と入れ替える「天地返し」が効果的です。
天地返しとは60センチの深さまで掘り、上30㎝と下30㎝の土を入れ替える方法です。菌核は数年で死滅し、地中深く埋めれば発病しない事がわかっています。
発生した場所に次に野菜を植える際には、再発を防止するための対策を講じましょう。
この記事の画像は農夫のアラカルト荒川(@vptn_farmingprg)さん、大原啓@鳥取琴浦の見習い農家(@tomattotone)さんからご提供いただきました。
ご協力ありがとうございます。