- 家庭菜園で使う被覆材の種類と特徴
- 各資材の性能と値段の比較
- 被覆材のホームセンターなど購入先毎の違い
家庭菜園で「トンネル」や「べたがけ」で使う被覆材について、初心者が迷いやすい点をわかりやすく比較してまとめます。
各被覆材の違いを比較!メリット・デメリット!
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比較した資材
- 農ビ(ビニール)
- 農ポリ(ビニール)
- 農PO(ビニール)
- 防虫ネット
- 不織布
- 寒冷紗
- 遮光ネット
家庭菜園で使う被覆材は大きく分けて「ビニール・防虫ネット・不織布・寒冷紗・遮光ネット」になります。
ビニールは3種類、防虫ネットも色違いなど色々ありますが、各資材の特徴を表にまとめました。
詳しくそれぞれ個別に紹介します。
ビニール
ビニールのまとめ
- 農業用ビニール(農ビ)・・・トンネル用は0.1㎜でOK
- 農業用ポリオレフィン(農PO)・・・ビニールハウス用
- 業用ポリエチレンフィルム(農ポリ)・・・マルチ用/0.05㎜以上ならトンネルも可
- コストを抑えて毎年買い替えるなら「農ポリ0.05㎜」
- 多少高くても長く使うなら「農ビ1㎜」
※ビニールの厚さは耐用年数が上がるだけで温度上昇は変わらない
野菜栽培で使うビニールは3種類あります。家庭菜園では使いませんが、テーブルに敷いたりするなど「雑ビ」と呼ばれるビニールもあります。
それぞれの違いがありますが、家庭菜園ではビニールをトンネルしたい場合に使う事が多いのでトンネル用には「農ビ(0.1㎜)」を使うと覚えておけば大丈夫。
農ポリもホームセンターで切り売りでトンネル用で販売していますが、0.5㎜だと薄いので1シーズン使い捨てになってしまう可能性が高いです。
農ビ(農業用ビニール)
農ビのメリット
- トンネル栽培に最適
- ホームセンターでも切り売りしている
- 厚みがあるので何年か使える
農ビのデメリット
- ビニールの中では価格は中間だが高い
- ビニールが裂けると穴が広がりやすい
- 重い
農業用ビニールの事を「農ビ」と呼びます。
トンネルをするならこれです。厚みがしっかりあってしっかりしたトンネルができますがコストが少し高いです。
ビニールに換気用に穴をあけたりする時に綺麗に開けないと「裂けやすい」という特徴があるので、サーと裂け目が広がってしまう特徴があります。
ただし、綺麗に丸く穴をあけてあげて、丁寧に使えば長く使えます。重さはありますがハウスで使うような量じゃない限り気になる事ではありません。
農PO(農業用ポリオレフィン)
農POのメリット
- 薄くて強度がある
- 裂けても穴が広がりにくい
- ビニールハウスに使われる
農POのデメリット
- 高い
- トンネルで使う場合マイカ線は専用の物がベスト
大型のビニールハウスを作るのに使われ、耐久性がビニールで最もありますがその分一番ビニールで高いです。
穴が空いても裂けにくいなどメリットもありますが、家庭菜園でトンネルするにはここまでは必要ないかも。ホームセンターでもあまり売っていません。
仮にトンネルで使う場合、擦れやすい素材なので専用のマイカ線があります。
農ポリ(農業用ポリエチレンフィルム)
農ポリのメリット
- ビニールで価格が一番安い
- 軽くて扱いやすい
農ポリのデメリット
- ビニールが裂けると穴が広がりやすい
- 0.05㎜以下など薄い場合はトンネルでは強度がない
農ポリは0.02㎜で基本的には透明マルチで使われる事が多いです。
ホームセンターで0.05㎜でトンネル用で販売されていますが、強度に不安があり1年くらいしか持たない可能性が高いです。その分価格は安い。
0.075㎜以上あればトンネルでもおすすめですが、ホームセンターで売っているのは見つけられませんでした。
ビニールの厚さによる違い
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寒冷紗
寒冷紗のまとめ
- 不織布と防虫ネット両方の特性
- サイズは目あい1㎜だけなので「長さと横幅」で選ぶ
- 防虫ネット程の細かい種類は無いので害虫も限定
- 使う季節は冬以外ならOK
- 保温効果は不織布より弱い
- 遮光で夏の日差しも遮る
- べた掛けで使う場合は軽くアーチをかけると良い
寒冷紗のメリット
- 防虫ネットのような防虫効果
- 不織布のような保温効果も多少ある
- 夏の日差しを遮る遮光効果
寒冷紗のデメリット
- 防虫ネット程目あいの種類は無い
- 冬に保温する程の効果は無い
寒冷紗の代用品は不織布と防虫ネット!
寒冷紗は「不織布」と「防虫ネット」の両方の特徴あわせ持っています。要は万能選手です。
防虫ネットの目あいは0.02㎜~2㎜までと幅広くあり、寒冷紗は1㎜が基本なので種類がない分対応する害虫が違います。
不織布ほどの保温効果はないですが、防風・保温効果もあります。
また黒色の寒冷紗もあり遮光率50%くらいの物もあり、遮光ネットのように90%遮光ではないですが効果があります。
不織布と寒冷紗の違いは使う時期!
最も違いが分かりにくいのが「不織布」と「寒冷紗」の違いと使い分けです。
一番の違いは、保温効果に特化しているのが不織布なので不織布は冬や春先などに保温目的で使います。
一方で寒冷紗は冬に保温する程の効果はありませんが、冬以外の季節に不織布と同じような使い方もでき、べたがけも可能です。
不織布より寒冷紗の方が倍以上の価格がして高い分、寒冷紗はしっかりしているので長く使えるという特徴もあります。
家庭菜園では、価格が安いのがよい・保温に特化して冬に使いたいなら不織布、長く使いたい・冬以外の季節に使いたいなら寒冷紗で良いでしょう。
不織布
不織布のまとめ
- 保温効果が高い資材!網目が無いので防虫効果も
- サイズは目あいが無いので「長さ」で選ぶ
- 使う季節は冬や春先
- べた掛けで苗や種の植え付け時の保温・防鳥効果
不織布のメリット
- 冬や春先の保温に最適
- 網目がないので防虫効果もある
- 被覆材では一番安い
不織布のデメリット
- 薄くて破れやすい
- 蒸れるので夏にはおすすめしない
パオパオやパスライトは商品名!
不織布には色々な種類があるのかと思いますが基本的には1つです。パオパオとの違いが何か気になる人もいるはずですが、パオパオは商品名です。
三菱ケミカルアグリドリーム社が作る不織布のシリーズがパオパオ、他にもユニチカ社が作るパスライトなどもあります。
防虫ネット
防虫ネットのまとめ
- 目あいによって対応する害虫が違う
- 目あい1㎜か0.75㎜が一般的
- サイズは「目あい・長さ・横幅」で選ぶ
防虫ネットのメリット
- 目あいによって防虫できる虫の種類の幅が多い
- 通気性が良い
防虫ネットのデメリット
- 価格が割と高い
- 防虫以外の効果はない
防虫ネットの目あいの違いによる害虫の違い
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防虫ネットの代用品は寒冷紗!
防虫ネットには網目の種類で防虫効果が選べますが、寒冷紗にも防虫効果があります。
ただし寒冷紗は1㎜しか選択肢が基本的にはないので、防除できない虫もいるので種類によって使い分けをすると良いでしょう。
虫に特化しているのが防虫ネット、防虫・防風・防霜・遮光などの効果があるのが寒冷紗です。
遮光ネット
遮光ネットまとめ
- 遮光専用資材なので「遮光率」で選ぶ
- 防虫ネットや寒冷紗でも黒で遮光タイプもある
- しいたけ栽培や茗荷栽培などに良い
- 寒冷紗と違い防虫/保温効果などは無い
遮光ネットのメリット
- 遮光率が高い
- しいたけなど日陰が必要な栽培で活躍
遮光ネットのデメリット
- 遮光以外の効果はない
- 使い方はトンネルするのではなく木やポールなどに結んで影を作るイメージ
ビニール・寒冷紗・不織布・防虫ネットの価格比較
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同じ横幅(135㎝)・長さ(5m)でホームセンターで販売していた価格比較。
ただし販売サイズが無かったので「不織布・寒冷紗黒は横幅180㎝」で算出したケースは以下の通り
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不織布が圧倒的に安く、防虫ネットよりは寒冷紗の方が高いのが基本ですが、防虫ネットも目あいが小さくなり対応する害虫が増えると高くなります。
被覆材の購入先
被覆材の購入先毎に取り扱いや価格などの特徴を紹介します。
ホームセンター
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上の表は、家庭菜園で使う資材が最も豊富にある私の近所の大型店ホームセンターで家庭菜園で使いやすいサイズの「決まったサイズでパックになっているビニール」の価格を比較したものです。
トンネルでビニールをしたいと思って買いに行った場合、この中でおすすめするのはこんな感じ。
- 「すぐ破れても仕方ないから安くお試しで使ってみたい」・・・農ポリ
- 「ある程度高くてもしっかり使いたい」・・・農ビ
農ポリ0.05㎜は安いんですが破れやすいのでトンネルにはおすすめしません。農POまでは家庭菜園ではビニールハウスを作らない限り必要ありません。
長さや横幅によって、不織布も2~3種類、防虫ネット5種類、寒冷紗2~3種類ほどありました。
ホームセンターでは農ビの厚さは基本的に1種類(1㎜)、農ポリも同じく1種類(0.05㎜)、防虫ネットは1mmと0.75㎜の目あいだけでした。
切り売りでメートル単位で販売しているお店もあると思いますが、切り売りは高くなるのでサイズがあるならパックになっている物を選ぶのがおすすめです。
100円ショップ
100円ショップで買える被覆材は「防虫ネットのみ」たまに「不織布」があるかも位の品ぞろえ。
長さや横幅も選べず基本的に横幅1m×長さ2mくらいのサイズで畑で家庭菜園するには使えなさそうなサイズです。
100円ショップで買う場合はプランターで使う事を前提にするなら非常におすすめです。目あいがあっていればしっかりと防虫する事ができます。
もし畑で使いたい人は、ミシンで防虫ネットをしっかり縫い付けてつなげるという方法もあります。隙間がなければ効果は同じなので多少足りなくて手間をかけたい人はミシンもありです。
ダイソーの被覆材などの取り扱い
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セリアの被覆材などの取り扱い
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インターネット通販
インターネット通販で選ぶ場合は、畝の横幅・長さをしっかりと確認してサイズがあう商品を選ぶ事です。
ネットで買うと、防虫ネットの目あいの種類もホームセンターで取り扱いが無い種類があったり、寒冷紗の種類が多かったりとメリットが多いです。
必要な被覆材の横幅と長さの計算方法
ネット通販で選ぶなどの場合も含めて、被覆材は横幅と長さがしっかり合わないといざ買ったのに使ってみたらサイズが合わないという事になります。
例えば防虫ネットで裾を土でしっかり埋めないと隙間から虫が入って結局意味がなかったという結果につながるんですよね。
裾を土で埋める為には、少し横幅に余裕が無いと埋められないのでしっかり「畝のサイズ」と「被覆材の横幅」を計算する必要があります
具体的な計算方法は「トンネルを作るのに必要な資材の計算方法」で紹介しています。
被覆材をトンネル支柱に固定するのはパッカー!
トンネルで被覆材を固定するのは家庭菜園では「パッカー」がおすすめです。
パッカーを使って、さらにトンネル支柱の間に「ダンポール」を挿してあげれば暴風にも耐えられるトンネルが完成します。
農家では長いトンネルを作るので「マイカ線」を使いますが、家庭菜園ではパッカーの方が簡単で便利です。
トンネル支柱で被覆材を張る方法
トンネルで被覆材を張る方法は「普通にトンネルする方法」「観音開きで開きやすい方法」の2つがあります。
支柱も「アーチ状のトンネル支柱」「曲がって便利なダンポール」の2種類があります。
固定する方法も「パッカーとダンポール」「マイカ線」の2種類があります。
具体的なトンネルのやり方は「トンネル栽培の方法」で紹介しています。
プランターで被覆材(防虫ネット/遮光ネット/寒冷紗等)を張る方法
被覆材をプランターにかける場合は「支柱を挿す穴がある専用プランター」で「プランター用の支柱」を使うと簡単です。
一方で何もない通常のプランターでも、ダンポールを使うと非常に簡単です。
ダンポールは1本90円ほどと非常に安価ですが通常1本の棒ですが簡単に曲がってアーチが作れるものです。
のこぎりで簡単に短くできるので自分のプランターにあったサイズに切って土にさしてアーチを作ってあげれば被覆材をかける事が出来ます。
まとめ
- 寒冷紗は万能、不織布は保温に特化、防虫ネットは目あいに注目
- トンネルでビニールは農ビが何年も使えておすすめ
- 被覆材はホームセンターか通販がおすすめ
家庭菜園使う場合の被覆材の違いを紹介しました。
寒冷紗と不織布の違いなど使い方が難しいですが不織布など非常に安いので色々試してみると良いです。
具体的なトンネルのやり方は下記記事で紹介しています。