- 畑で使う籾殻くん炭の効果とデメリット
- 籾殻くん炭使用量と使い方
- 籾殻くん炭の入手方法
籾殻くん炭は天然資材で安心、しかも安くて土壌改良にも使えます。また、雪解けを早める為に融雪剤としても使える万能資材です。化学的な資材では無いので家庭菜園でも安心安全。その凄い効果を紹介します。
もくじ
籾殻くん炭とは？
籾殻くん炭とは、お米を精米する時に出来る”白米になる部分を包んでいる殻”の「もみがら」を400度以下の低温で焼いて炭化した物です。
もみがらの状態でも非常に便利な資材で「畑に土壌改良材で撒いたり、ニンニク等の長期保存したい野菜を発泡スチロールに入れて保存出来たり」といった様々な使い方が出来ます。
もみがらは米の産地である日本ならではの天然資材で、お米を作る時に大量に出る為余っている資材の側面もあるので価格も安め！
地域によっては無料で手に入る家庭菜園でオススメの土壌改良材です。米作りで出る捨てる部分が、また野菜作りに役立つのは魅力的ですよね。
もみがらを炭化した「籾殻くん炭」は、もみがらとは違った使い方が出来るのでその使い方を紹介します。
籾殻くん炭を使う効果と3つのメリット
籾殻くん炭のメリット
- 融雪剤として畑に撒ける
- 土壌改良剤で使う
- アブラムシ忌避
籾殻くん炭は特に雪の積る地域で非常に活躍します。畑の雪解けを早めて少しでも家庭菜園を早くやりたい人におすすめ！
低コストで土壌改良材としても非常に優秀で3つのメリットを紹介します。
北海道など融雪剤で使える
雪が降る地域に住む人では雪が溶けないとは土づくりができません。
そこで、畑の土づくりや植え付けを少しでも前倒ししたい人は融雪剤代わりに直接畑の雪の上から撒きましょう。
籾殻くん炭の黒い色が太陽熱を吸収して、驚くほど雪解けに効果があります。しかも、雪が溶けた後にはそのままもみ殻くん炭が土に混ざって土を耕すだけで土壌改良剤になりダブルでメリットがあります。
注意点は雪がもみ殻くん炭を撒いた後にまた積ると雪解けの効果が無くなるので、雪が降らなくなったタイミングを見計らう事です。
1ヶ月早くなるとかではなく、体感で5日位は早いのかなという印象。早くなるだけではなく土壌改良も出来るので撒くしかないという感じですね。
使用量は後ほど紹介します。
土壌改良:保水性と排水性のアップ
籾殻くん炭は土に混ぜる事で土壌改良資材になり、籾殻自体が水を吸うため畑の保水効果が上がります。
水捌けが良過ぎてすぐに乾燥してしまう砂質の土の土壌改良に向いています。
一方、籾殻は反対に土に混ぜると隙間が出来るので排水性を向上させる効果もあります。
粘土質で雨が降ると水溜まりが出来てしまう土を改良する事も出来ます。
土壌改良:畑の微生物が増える
また、籾殻くん炭は畑に混ぜるだけで微生物が増えます。
籾殻は燃やしてくん炭化する事で表面に小さな穴ができ、微生物の住処になります。
住処があれば微生物が増え、病害虫の蔓延を防ぐ虫や生息しやすくなったり、微生物の効果で土に入れた残渣等の分解も早まり良い土作りが出来ます。
アブラムシを寄せ付けない
アブラムシが籾殻のくん炭化された匂いを嫌い、植えつけた後株元に撒いてあげると苗に被害が減る効果があると言う人もいます。
ただし、うっすら撒くのでは効果はあまり無く、「苗の植え付け後にマルチの隙間を埋める土寄せをする土を籾殻くん炭にする位の量」を使うと目に見える効果があるそうです。
植え付け後はマルチの隙間から熱い風が出て苗が痛んでしまうので株元に土寄せをしますよね。この土を籾殻くん炭にしてみるというやり方です。
籾殻くん炭のデメリットと注意点
籾殻くん炭のデメリット
- 軽いので風で飛ぶ
- 衣服についたり近所迷惑の可能性
- 撒きすぎは土がアルカリ性になる
籾殻くん炭のデメリットを紹介します。
軽いので風で飛ぶ
籾殻自体が非常に軽く、持っても軽さを感じないほど軽いですが、炭化しても重さは変わらないので風で飛びます。
スコップで撒いて地面につくまでの間に風に流され、撒いた後にも地面から飛ばされてしまう位なので必ず無風の日に作業をしましょう。
軽さはBBQの後に残った灰のようなイメージです、本当に少しの風で飛びます。
対策は、撒いた後にすぐに畑を耕して土と混ぜる、雨が降った後など濡れた地面に使うと撒いた後に飛びにくいです。
衣服についたり近所迷惑になる可能性
炭化しているので籾殻くん炭は炭を触った時と同様に黒くなりますので風で飛ぶと非常に近所迷惑になります。
気を付けて撒いているつもりでも、住宅街の庭で使う場合、お隣の洗濯物等が風下にあった場合に飛んで付着する可能性も十分にあります。慎重になり過ぎるくらい気をつけた方が良いです。
私の場合は、雪解け早めるために撒きましたが、撒いていない離れた場所にあった雪山が黒くなっていました。想像以上の飛距離ですよ
撒きすぎるとアルカリ性になる
籾殻はくん炭化するとアルカリ性になり、ph8〜10のアルカリ性の土壌改良資材です。
土壌の酸度調整に使う「苦土石灰」もph9.4前後なので、撒き過ぎると土壌がアルカリに傾きます。
アルカリ性に傾き過ぎると、元に戻すのはかなり大変なのでまずは使用量を守ります。
普通に使う分ではアルカリに大きく傾く心配はほぼ無いですが、大量に土壌改良目的で使う場合は、酸度計を使いきちんと土壌の酸度を測りながらがおすすめ。
石灰の使用量を調整するなど他のアルカリ資材との使用量の調整も考えましょう。
籾殻くん炭の使用量・使い方・成分
| 保水性 | 保肥力 | 排水性 | 土壌改良効果 |
 高い |  低い |  あり | あり |
| 微生物活発効果 | 肥料効果 | PH | 使い方 |
あり | なし | アルカリ性 | 融雪剤 マルチング 株元で乾燥防止発芽率の向上 |
撒きすぎは注意、袋に書いてある使用方法を良く読みましょう。
使用量
| 単位 | グラム(ｇ) | リットル(L) |
| 坪当たり | 約650〜1000g | 約7〜10Ｌ |
| ㎡当たり | 約200〜300g | 約2〜3Ｌ |
| ざっくり目安 | 土の1割～2割ほど | |
使用量は目安です。実測したところ10リットル＝約1000gでした。
使い方
籾殻くん炭は、BBQした後にコンロに残った小さい炭のような物なので触ると手が真っ黒になります。
「スコップやシャベルを使って袋からすくって撒く」もしくは「袋を持ったまま直接撒く」のがいいです。化成肥料のように手で撒くのは困難。
撒いた後は風で飛ぶので、すぐに土にスコップ等で混ぜる、水を撒く等の対策をしましょう。
成分
 窒素 （Ｎ） |  リン酸（Ｐ） |  カリ（Ｋ） |
| ー | ー | 1.34% |
| けい酸 | 石灰 | 炭素 | マンガン |
| 51.55% | 0.14% | 30.82% | 0.10% |
| 苦土 | 酸化鉄 | 銅 | PH |
| 1.20% | 1.95% | 2.61ppm | 10.5 |
肥料ではないので作物を育てる為にメインで必要な三大成分はほぼ入っていません。肥料を減らしたりする必要は無く撒きすぎても窒素過多になる心配はないです。
成分の大部分は「けい酸」で、微量要素のマンガン・鉄・銅も含まれています。
けい酸は病気や害虫に強くなる効果があり、微量要素は人間でいうビタミンのような効果があります。
不足する事で肥料成分をうまく吸収できなくなってしまうので、肥料と一緒に補う必要がある要素なので肥料だけの畑よりも美味しい野菜が育ちます。
籾殻くん炭の作り方！燻炭器が必要
籾殻くん炭は自作する事も可能です。
農家では自作する人もいますが家庭菜園レベルでやっている人、住宅街でやろうと考える人は絶対に自作はやめた方が良いです。大した金額では無いので買いましょう。
理由は、籾殻をくん炭化する為に何時間もジリジリ燃やす必要があるので家事の可能性や手間が非常にかかり、延焼中の煙が凄い事です。
普通に庭でやっていたら、近所から火災と間違われ通報されるレベルの煙です。
自作する場合は、ステンレス製のくん炭機が売っていて、山積みにしたもみ殻にこれを設置して燃やします。
殻の量によって半日〜丸2日かかり、出来上がった籾殻くん炭は湿ったままビニール袋に入れて保管。間違って紙袋に入れると、完全に消えていなかった場合に紙袋に引火して火事になります。
こんな事で火事で家を失ったら全く意味がないのでホームセンターや通販で買いましょう。
籾殻くん炭の入手方法・値段・販売場所
ホームセンターでは大袋で50リットル（5〜7坪分）や2リットルの小袋タイプも売っていました。100円ショップでは見た事がありません。
50リットル入っている大袋でも500円前後なので、肥料等と比べても安価で使いやすいです。
それ以上の量だとネット通販や、メルカリやジモティー等で大量に作った人が販売している事もあるようです。
まとめ
- 使用量は2〜3リットル/平米（5〜7リットル/坪）
- 使い過ぎるとアルカリに傾くので注意
- 安いのに土壌改良にも融雪剤にもなる
籾殻くん炭の万能さを紹介しました。
量を守れば安くて土壌改良が出来るので、良い土になり、美味しい野菜が育ちます。
雪国で少しでも早く畑の雪を溶かしたい人には一石二鳥なので更におすすめです。
